確かに、サッと読み解くことが難しい文章です。一読しただけでは意味がすぐにつかめないかもしれません。本問では、
という手順で、?の「デンプン」という正解を導くことになります。けっこう複雑ですね。
このように頭の中だけでは理解しにくい場合におすすめなのが「ベン図」です。ベン図とは概念の範囲や関係性を図で表したものです。
「論理的に正確」なベン図を書く必要はなく、「頭の整理に役立てばよい」と割り切って書けばよいのです。次のようなベン図が書ければ、何の迷いもなく正解にたどり着くことができます。
文章の内容が頭に入らないときに、とりあえずベン図を書いてみるのもよい方法です。言葉が図として捉えられるようになり、それゆえ認識しやすくなるからです。また、手を動かすことで思考がまとまりやすくもなります。
ここで、頭の体操としてもう1つ問題を解いてみましょう。次の文章が表すベン図は、下のア・イ・ウのうちどれでしょうか。正しいベン図を選んでみましょう。
<選択肢>
アは文化部の兼部についての図が抜けています。ウは真ん中の部分が3つの部活を兼部できるように示されていますので、正解は、イとなります。
このように、ベン図は概念相互の関係を考えるときに役立つものですが、広すぎるベン図は、概念の範囲を示すことができません。つまり文章において、はっきりした定義をしていないということです。
政治家の答弁などを聞いていると、「この人はずいぶんベン図を広げるな」と思うことがあります。
カジノ法案を通すために、ある政治家が「日本人をもっと信用しましょうよ」と答弁したことがありました。この政治家に反対したら「では、あなたは日本人を信用していないんですね?」と切り返されるはずです。そうなると反対した人のほうが立場が悪くなる。でも、ベン図で考えると、この政治家の発言がおかしいことがわかります。
本来であれば、ベン図のなかの米粒ほどの範囲「カジノで遊ぶ日本人」を対象に議論しなければならないところを、この政治家は「日本人」と言ったわけです。ベン図を大きく広げて話をしているのです。
相手を煙に巻くためにベン図を広げるような話をする人、例えば、「男性(女性)は皆」「子どもはつねに」などのようなベン図を広げた言い方には、注意が必要なのです。
このようにベン図を思い描きながら新聞を読むようになると、例えばその政治家の発言がどのくらい信用に値するかを判断できるようになります。また、大げさな広告にだまされたりすることもなくなるでしょう。ベン図を使うことで、自分を守ることができるようになるのです。