ベストセラーとなった新井紀子さんの著書『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』でも指摘されているように、現代の子どもたちの読解力の低下について注目が集まっています。
それは、長年、国語の指導をしている私も常々感じていました。ですがこれはある意味、当然のことだと言えます。
私は学校の先生や塾の先生にも、国語の教え方の指導をしているのですが、誰もが知っている有名校の先生や、教科書の制作に関わるような先生でさえ、国語の成績が伸びるための教え方を知らないのです。とくに、受験の合否を左右する読解力に至っては、どう教えたらいいのかわからない先生のもとで、いくら勉強しても成績が伸びない生徒たちがため息をついているのが現状です。
また、学校の国語の授業をのぞいてみると、力を入れているのは、「感想」や「感情」の部分です。論説文を読んで感想を書き、物語を読んで主人公の感情を発表するといった授業が行われています。読解そのものに必要なスキルに至っては、あまり教えられていないのです。
そもそも読解力とは、簡単に言えば「論理的に文章を読み解く」能力を指します。
読解力は、「国語」の成績に関係するだけではありません。数学でも英語でも理科でも社会でも、テストには問題文があります。文章読解力がなければ、これら問題文も正しく理解できないため、あらゆる教科の成績が振るわないということにもなります。
また、話相手の言葉や新聞記事、仕事の資料などの意図を正しくくみ取ることができなければ、日常生活にも支障を来します。
では、読解力をアップさせるにはどうすればいいでしょうか。私は、学生たちや教師・講師に国語の指導をする中で、読解力を高めるために重要なのは、「図式」や「道具」に「あてはめる力」が重要なのだと気がつきました。
算数には公式がありますし、医療であれば病名があります。また法律家も、罪名が決まらなければ、その後の罰も与えることはできませんから、「あてはめる」という仕事が必要です。読解力もこれと同じなのです。
そこで私は、論説文や物語文に当てはめる独自の「図式」や読解を助ける「道具」を編み出し、生徒に教えてきました。これらを使えば、茫漠と広がる読解の世界を、自分の手で再構築することができるようになります。
さて、皆さんの読解力はどうでしょうか? 自信のある方もない方も、ぜひ次の問題に取り組んでみてください。
『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』にて取り上げられていた、某新聞社の論説委員から経産省の官僚まで間違えたという、難解(??)な問題です。