転職で引く手あまたな人に共通する30代の経験

そして、同じ環境に安住していては、外部から見た本当の市場価値はわからない。会社を退職したとたん、これまでよくしてくれていた取引先や友人関係が一気になくなることは多い。つまり、「あなた個人」ではなく、「看板」に価値があったということだ。新しい環境に行ってみて初めて、本当に自分がどこまで必要とされるのか、「市場性」を本質的に理解することができるのだ。

転職者のデータをもとにした研究では、目先の給料だけで転職先を選んだ人よりも、一時的に苦労をしてでもクリエイティブジャンプとなる選択をした人のほうが、中長期的には結果としての市場価値が高くなり、年収が増えているという結果も出ている。

このように、クリエイティブジャンプは既存の延長線にない非連続な挑戦であり、“修羅場をくぐる”ような環境に飛び込むことでもある。

エッグフォワードでは、コンサルティング支援も多く手がけるが、実際に先進企業でも、次世代リーダープロジェクトでは、あと1歩突き抜けさせたい社員には、多少の失敗も承知のうえでクリエイティブジャンプ経験を積ませている。

2. 自らの価値観や強みなど、Context(背景)を理解する

2つ目のCは、Context(コンテクスト=背景)。つまり人生のバックグラウンドだ。新しいものにすぐ飛びついても続かない人は、自らの本質的な価値観や強みを深く自覚していないことが多い。表面的な好き嫌いに、自分自身が振り回されているのだ。自分が見えていないので、「ここではないどこか」へとジョブホップを繰り返して、スキルや能力も身に付かないという悪循環に陥ってしまうケースは多い。

キャリアを築く出発点は、当たり前に聞こえるかもしれないが、まずは自分を知ることだ。周囲がよかれという青い鳥を自分も探し続けるのではなく、自分の価値観の源泉、これまで経験の本質、コンプレックス、もっと言うと人生そのものを振り返りながら、自分ならではの源泉や持ち味を探すことからだと言ってもいい。

生き方や価値観は多様の一途だ。だからこそ、仕事を通して自分が最も実現したいことは何か、最も大切にする行動やモチベーションの源泉は何かと振り返ってみることで、自分の本質が見えてくる。人は自らが望み、夢中になれる仕事のほうが大きな価値を発揮できるものだ。

とはいえ、自身が自らを理解することは容易ではないのは当然のこと。そうした志向に気づくヒントとしては、まずは少しずつでも幅広い経験をすること。閉じこもっていても選択肢は見えない。第三者も交えて質問を繰り返すことも有効だ。「時間を忘れて取り組めることは何か」「お金をもらわずともやりたいと思えるほど楽しかった仕事は何か」などの質問で振り返ってみるといいだろう。

「ジョハリの窓」とは?

また、TURNING POINTのサービス内でも提供しているが、最近は科学的なアセスメントにAIなどを活用して自身を知る機会も増えてきた。実は、普段発揮している特性や強みは今の環境に「適応」するために身に付けたもので、本質的に自身が有している「特性」とは異なるケースも多い。

後天的にやむなく身に付いていくうちに、それが当たり前に思えてきているということだ。「ジョハリの窓」という言葉があるが、自身の知らない潜在的な自分を第三者からの質問や、アセスメントを用いて、自身も知らない潜在的な特性を科学的・客観的に把握しておくと働くうえでは非常に役に立つ。

3. キャリアのConcept&Coaching(実現したいこと/ありたい姿)を描く

3つ目のCは、Concept(コンセプト)を多様な未来視点で(Coaching)描くこと。人生を通して自分が実現したいことや、どんな人でありたいか(なりたいか)など、あなたが目指す最終的なゴール・目標を立てて思い描くことだ。