転職で引く手あまたな人に共通する30代の経験

市場価値の高い人材になるためには? 自身のキャリア形成に役立つ“4C”を紹介(写真:xiangtao/PIXTA)

2020年代の幕が上がった。「人生100年時代」と言われるが、私たち個人の長い人生を待ち受けているのは、これまでにない変化の連続だ。キャリアにおいても、今所属する会社組織が50歳や60歳まで必ずしも守ってくれるわけではなく、個々人が自発的にキャリアを選択することを求められている。

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20代はもちろん、30~40代以上のキャリアチェンジも増える一方だ。皆さんも、転職を具体的に考えなくても、自身の市場価値や、今後のキャリアをどのように選択していけばいいか漠然と考えたり、どうしたものかと悩んだことのある人も多いのではないだろうか。

具体的には、「業界問わず、転職後、充実して活躍している人の特徴とは?」「自分の市場価値はどの程度か? 市場価値が高い人の共通点はあるのか?」「キャリア選択は、何を軸に考えるべきか?」などといった相談は、個人個人に向き合ったキャリア支援サービスTURNING POINT(以下、TURNING POINT)を運営するエッグフォワード代表の徳谷のもとにも増える一方だ。

そんな時代に向けて、中長期的なキャリア選択にあたってのポイントをお伝えしたい。今回は、相談の多い事例から浮かび上がる、キャリア形成に向けた“4C”という4つのキーワードに沿って考えていこう。

20~30代のうちに困難なシーンに飛び込む

1. 非連続な挑戦で成長する(Creative Jump)

まず、転職市場で「市場価値が高い」と言われる人には、キャリア形成にあたって1つ共通点がある。それが、筆者徳谷が提唱した「Creative Jump(クリエイティブジャンプ)」という概念だ。

これは、キャリアのどこかで既存の延長線にない“非連続な挑戦”をしてきたということ。これは、転職をする場合においてもそうだし、社内異動やプロジェクトへの抜擢といった出来事にも通じる。

例えば、40代以上で「市場価値が高い」と言われていて、転職時に引く手あまたのビジネスパーソンは、例外なく、20~30代のうちに、まったく別の領域や、一時的にでも困難なシーンに飛び込んでいる。どこで、どの程度「Creative Jump」をするかは、キャリア形成の1つのスタンダードになりつつある。

なぜ、クリエイティブジャンプをすると、市場価値が上がるのだろうか?

市場価値の要素分解をしてみよう。筆者徳谷は、市場価値とは、大きく「希少性」×「再現性」×「市場性」で分解されると提唱している。

クリエイティブジャンプをすると、このそれぞれを高められる。世の中には単一スキルでも能力の高い人材はごまんといるため、上には上がいるものだ。

さらに同じ場所では身に付かない、異なるスキルを身に付け、2つ以上のスキルを掛け合わせたほうが圧倒的に「希少性」が高い。10人のうち1人が持つ力でも、それを3つ4つ掛け合わせれば、1000分の1、1万分の1になる。例えば、営業だけ、エンジニアだけ、経理だけというキャリアを持つ人は数多いが、それぞれが高いレベルで備わっている人材は非常にレアになる。

これまでの経験則が通用しない環境に身を置き、必死で考え抜き手を尽くす。そんな経験を乗り越えることで、新しいスキルや知識が身に付き、多様な視点を踏まえた、「希少性」が高まるはずだ。

特定の会社でしか発揮できない力では意味がない

同時に、クリエイティブジャンプをして、まったく新しい環境に行けば、一緒に仕事をする仲間も、マーケットの状況も当然異なる。その条件でこれまで発揮してきたような力を再現できれば、そのときこそ特定の環境に依存しない独自の価値の「再現性」が磨かれる。例えば、特定のA部長を知っている、決裁ルートはこちらからなど、特定の会社や部署内でしか発揮できない力には何の意味もないのだ。