【相次ぐ人員削減・ストライキ】AIで脚本家も俳優も不要に?クリエイティブな領域にも入り込む生成AI 【連載第2回】『生成AI社会』より本文公開

2024.09.30 Wedge ONLINE

 しかしそうした戒めとは違い、倫理は、「よいこと」と「悪いこと」との範囲を考えたり、よいことのためにするべき義務をも含んだ幅広いことを指しています。社会の規範はどのようなものか、それにはどのような根拠があるのか、これからどのような社会規範を作っていくのかを考えることです。

 したがってAI倫理でいえば、よりよいAIとはなにか、よりよいAIの利用とはなにか、どのようなAIの開発・運営が社会をよくすることにつながるのか、AIを介して社会をよくするにはいかなることが求められるのか、AIが組み込まれた社会のガバナンスはどのようにしていくのかといったテーマも含まれます。

 私たちの社会は、すでにAI社会です。自分自身の創造性を深く考えると同時に、創造性を発揮してAI社会をよりよいものにしていく必要があります。いわば、私たちに求められているのは創造的な社会がこれまで以上に残酷にならないようにするための倫理的創造性なのです。

【参考文献】
・科学技術庁監修(2013)『21世紀への階段』復刻版、弘文堂
・坂本旬・芳賀高洋・豊福晋平・今度珠美・林一真(2020)『デジタル・シティズンシップ』大月書店
鈴木聖子(2023)「AIに?役?を奪われる」『ITmedia』(2024年5月31日アクセス)
・デューイ、ジョン(2004)『経験と教育』(市村尚久訳)、講談社
Guglielmo, C. (2023) “CNET Is Testing an AI Engine. Here's What We've Learned, Mistakes and All”(accessed 2024-05-31)
SAG-AFTRA (2023) “TV/Theatrical Contracts 2023 Summary of Tentative Agreement”(accessed 2024-05-31)
Writers Guild of America (2023) “Summary of the 2023 WGA MBA”(accessed 2024-05-31)