フィナンシャル・タイムズ紙(FT)の8月30日付社説‘The middle-power competition in Africa’が、アフリカにおいて湾岸諸国等のミドルパワーの影響力争いによりもたらされている成長の機会をアフリカ諸国が無駄にしている、と論じている。要旨は次の通り。
アフリカが世界の主要議題となることはほとんどない。しかし、このような明白な経済的、戦略的影響力の欠如にもかかわらず多くのアフリカ諸国は、トルコ、ブラジル、ロシアなど様々な国から求愛されている。このような「ミドルパワー」の関心は、アフリカの指導者たちに投資と戦略的パートナーに関する多くの選択肢を提示している。
このような多様な選択の可能性を巧みに利用すれば、各国が貧困から脱却できる機会になるかもしれない。重要なインフラ・プロジェクトに関しより良い取引ができ、一次産品取引に原材料の国内加工を伴うことを主張することもできる。アフリカ大陸自由貿易地域を加速させるべきであり、それだけで分断された経済を魅力的な単一市場に変えることができる。
英、仏といった旧植民地大国は長年にわたり、アフリカ大陸に生産的に関与しようと苦闘してきたが、かえって反発を招いてきた。米国は、冷戦後、冷淡になった。
投資家は、アフリカとの距離と厳しい贈賄防止法によって意欲をそがれた。ワシントンはアフリカをほとんど安全保障の観点からしか見なかったが、バイデン大統領のもとで、戸惑いながらも再関与の兆しを見せている。
米国と欧州の影響力の相対的な低下による空白を最初に埋めたのは中国である。その後にインドや湾岸諸国をはじめとする多くのミドルパワーが加わった、アフリカは国連に人材と票を提供している。
長期的には、アフリカには市場が約束されている。2050年までにアフリカの人口は25億人に達しその半分は25歳以下である。彼らがそこそこの生活水準に達するだけで、それは大量の消費者となる。また、コバルト、リチウム、マンガン、銅などのエネルギー転換鉱物をめぐる競争も激化している。
アフリカから見れば、この新たな関心は選択肢を意味する。タンザニアはドバイが運営する港を、ガーナとニジェールはトルコが建設する空港ターミナルを、中央アフリカとマリはロシアの傭兵を選んだ。
選択肢にはコストが伴う。欧州のアフリカへの投資は、中国にはない国内的な精査を受けることになる。しかし、中国からの借金の累積は、ザンビアからエチオピアに至るまで、債務不履行の波につながっている。
無用の長物のような投資が多すぎるのだ。ケニアに建設された40億ドルの中国鉄道は、経済の生産性向上よりも、政治家の取り巻きのために建設された。
ミドルパワーは、新たな安全保障上の絡みをもたらしている。スーダンの内戦へのアラブ首長国連邦(UAE)の介入は、世界最悪の人道的大惨事を長引かせている。金やダイヤモンドで報酬を得るロシアの傭兵は、経済的、社会的発展の面では何も提供しない。
ケニアの抗議者たちが指摘しているように、アフリカの指導者たちは、国家の発展のためではなく、自分たちの利益のために行動することがあまりにも多い。
アフリカにおける競争は、より多くの成長、より多くの製造業、そしてより多くの雇用の拡大が期待できるが、提供されている新たな関与のパターンによる機会を、今のところ、ほとんどのアフリカの政府が浪費している。
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