東京ヤクルトスワローズ 髙津流マネジメント2024

勝ちきれない状況に苦しむ髙津監督
「落ち着かない」試合が続く理由とは――

「野球をやっている間は、みんな家族なんだ」

――先ほども述べたように、14日の中日ドラゴンズ戦は村上選手のサヨナラ打で勝利しました。この試合の途中、トイレですれ違った際に村上選手に対して、冗談っぽく「いつ頃打つんですか?」と声をかけたということも話題となりました。

髙津 ムネ(村上)の場合は、いい意味で言葉を選ばなくても大丈夫な選手なんです。例えば、「そろそろ打てよ」と言っても、「次、打ちますよ」という会話が普通にできるタイプです。でも、奎二に対して「しっかりやれよ」と言うと、「しっかりしなくちゃ」と真正面から受け止めてしまうタイプです。もちろん、ムネだって監督からの言葉を真面目に受け止めてはいると思うけど、このときはずっと凡打が続いていたので、「まだ打たないの?」と声をかけただけです(笑)。

――今、話に出たようにその選手の性格やキャラクターによって声掛けの仕方も変わってくると思います。その辺りの見極め方や、意識していることはありますか?

髙津 もちろん、常にじっくりと観察をして見極めているつもりではありますけど、僕よりも担当コーチの方がずっと選手の個性を理解しているし距離も近いと思います。ただ、監督として意識しているのは「野球をやっている間は、みんな家族なんだ」という意識です。楽しいことはみんなでワイワイやって、しんどいことはみんなで共有して助け合う。それが家族だし、チームだと思います。それは実績や年齢は関係ないし、どんな選手であれ、どんな性格であれ、みんなで共有していくものだと思って、選手たちと接しています。

――さて、冒頭で述べたように8月も残りわずかとなりました。本日23日からのベイスターズ3連戦、そして27日からの読売ジャイアンツ3連戦と、神宮での試合が続きます。最後にスワローズファンの方にメッセージをお願いします。

髙津 僕自身もそうですけど、ファンの方にもここまでずっと悔しい思いをさせていると思います。残り試合も少なくなってきた今、その思いを少しでも晴らしたい。夏休みもそろそろ終わりですけど、少しでもいい思い出を作って帰ってほしい。基本的に、球場はみんなで大騒ぎする場所だと思っています。だから、気持ちよく勝って、ファンのみなさんに大騒ぎして帰ってもらえるような試合をします。1勝でも多く勝ちます。引き続き、「応燕」をよろしくお願いします!

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

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髙津臣吾 /
2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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