リーグ2制覇達成から翌年、まさかの5位転落という屈辱を味わった髙津ヤクルト。主力の不調や投手陣の不安、チームの歯車はまったくかみ合わず、覇者の面影は消えていた。
そして今シーズン。「ヤり返せ!」というスローガンを掲げた髙津監督は、どんなビジョンでチーム再建を図り、長いシーズンを戦っていくのか。本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、雪辱を誓う髙津監督のマネジメント術をお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――8月も残すところあと1週間余りとなりました。6日から14日までは屋外球場での9連戦があり、5勝4敗となりました。この間の戦いぶりをどのように振り返りますか?
髙津 言葉にするならば「落ち着かない」という表現がいちばんピッタリきますね。日本一になった2021年、そしてリーグ優勝した2022年辺りはスタメンオーダー、先発ローテーション、あるいは継投に関して、やっぱり落ち着いていましたよ。もちろん、その中で勝ったり、負けたりはあるけれど、しっかりとした「形」が決まっていたし、「その形さえ崩れなければ大丈夫だ」という思いで戦っていました。
――ところが今年はそうではない?
髙津 今年は「形」は決まっていないし、少しずつそれができそうになっても、崩れていくこともありました。「つぎはぎ」というと語弊があるかもしれないけど、そのときの状況に応じて、「どうしようか、よし、こうしよう」という毎日が続いています。
――クローザー役が固定できず、リードしていても終盤に追いつかれる試合も多かったです。その一方では、6日には村上宗隆選手、12日にはオスナ選手、14日には再び村上選手がサヨナラ打を放つなど、劇的な試合もありました。
髙津 その点がまさに「落ち着かない」といった表現となった理由です(苦笑)。確かに劇的な試合も多かったけど、クローザーというのは起用するものではない。きちんと固定できずに、試合展開に応じて指名していくやり方でうまくいくはずがない。それはわかっているのに固定できなかった。僕自身、クローザー出身だけに何としてでも固定したかったけれど適任者がいなかった。その結果、「落ち着かない」試合が続いてしまいました。
――一時は木澤尚文投手、あるいは小澤怜史投手がクローザーとして固定できそうな時期もありましたが……。
髙津 いやいや、彼らもよく頑張って投げてくれているけれど、本当の意味でのクローザーというわけではありません。残念だけれど、今年はクローザーを固定できないままここまで来てしまったし、残り試合を考えるとこのままの状態で戦うしかない。いちばん良くない形でここまで来てしまいました。