2023ヤクルト髙津流 躍動の燕マネジメント

今年も「柱となる投手不在」の課題克服できず…
先を見据え、「育成」を意識した起用を

「最後の最後まで、全力で相手を倒しにいく」

――7月の終わりから8月にかけて4連敗、4連勝、4連敗、4連勝、と連勝しても連敗が続くという展開が続きました。なかなか勢いに乗れないもどかしい日々だったと思いますが、これは一体、どうしてだったのでしょう?

髙津 いやぁ、ホントにどうしてなんでしょうね……。ひとつ言えるのは、「どっしりとした柱となる投手がいない」ということだと思います。「彼が投げるから、この3連戦は3連敗はない」という存在や、たくさんのイニングを投げ、貯金のできる投手が少ないこと。これはここ数年、ずっと課題です。

――絶対的なエースがいれば、大型連敗の可能性は少なくなりますからね。

髙津 今年の目標というか、「絶対にやらなければいけない」と思っていたことは、先発の柱を一本、いや二本、三本と作ることでしたけど、それは実現できませんでした。今年もやっぱり、どっしりと安定した柱となる投手を作れなかった。毎年、同じことを繰り返してしまっているという反省はあります。

――昨年までも、優勝はしたけれど、2ケタ投手がいないという状況でしたからね。

髙津 毎年、新人選手や新外国人を補強して戦力アップは図っているんだけど、その分「あいつは今、何をしているんだろう?」という投手も出てくる。もちろん、どこで何をしているのかはわかっていますけど、なかなかみんなが順調に出てきてくれない。「あぁ、彼がいてくれたら……」と思うことは、正直ありますね。

――具体的な名前を挙げれば、昨年キャリアハイの8勝をマークした原樹理投手などは、まさにその筆頭ですね。

髙津 最近、高梨裕稔も戻ってきましたけど、彼も昨年は7勝しましたし、期待していた2年目の山下輝もそうだし、いろいろと思うところはありますね。

――さて、冒頭でも述べましたが、いよいよペナントレースも大詰めです。改めて、ファンの方々にメッセージをお願いいたします。

髙津 できる努力を惜しまずに、精一杯の力を発揮する。今の僕たちにできるのはそのことです。僕は元々、ネガティブなタイプで、「あれは大丈夫かな?」「これはきちんとできたかな?」とネガティブなことを考えがちだけれど、ここまで来たら、前向きな思いで日々戦い抜きます。最後まで「応燕」、よろしくお願いします。

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

髙津臣吾 /
2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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