――一昨年、昨年はペナントレース終盤の「ここぞ」という場面で、選手たちに言葉がけをするなど、大事な局面でムチを入れていました。今年はムチを入れる機会は訪れなかったように思います。
髙津 いや、今シーズンはずっとムチを入れっぱなしでした。「今年は全員がそろっていいスタートを切れそうだ」と思っていたし、実際にいいスタートは切れたんですけど、やっぱり、勝てないときというのは選手がそろわない。これを言い訳にしてはいけないんだけど、「全員そろって、全員で勝利を目指したい」というのが本音ではあります。
――今季は開幕5連勝を記録したり、リーグ最速10勝をマークしたり、幸先のいいスタートとなりましたが、それ以降は故障者が続出し、満足な戦いができませんでした。
髙津 防げない故障ももちろんあったけど、僕の気遣いによって防げるケガもあったんじゃないか。その思いはずっとあります。いろいろな思いが頭の中をめぐっていますね。ケガを防ぐことは今年の大きな目標の1つだったので、たくさんの反省と残念な気持ちが強いです。
――例えば、塩見泰隆選手が離脱している間に並木秀尊選手が台頭したり、オスナ選手が不在の間に、ルーキーの北村恵吾選手が大活躍したり、完璧な代役は無理だとしても、新たな可能性を感じさせるシーンもありました。それなりの手応えや収穫もあったのではないですか?
髙津 収穫はあったと思いますよ。もちろん、主力選手の離脱は痛手だけど、いなくなった選手のことばかり気にかけていても仕方ないし、残っている選手にも失礼なので、「今いるメンバーで戦おう」という思いは、いつも持っています。もちろん、勝てないと楽しむことはできないけど、いつもとは違うメンバーを起用して、どんな顔色で、どんなプレーをするのかということは、僕にとっての楽しみでもありますね。
――現状の選手たちとともにベストを尽くす。監督としては、そう切り替えるしかないでしょうからね。
髙津 僕たちは「勝つ」ということを最終目標としているので、やっぱり勝てないと楽しくはないです。でもその中でも、常に「新しい人を見たい」という思いは持っているし、実際に彼らが生きのいいプレーを見せてくれるのは楽しいです。だけどやっぱり、そこに勝利が結びついてこないと、心からみんなで喜ぶことはできないですね……。