2022年、盤石といえる強さでセ・リーグ2制覇を果たした髙津ヤクルト。主力、ベテラン、若手がそれぞれの役割を果たし、まさにチーム一丸となって勝利をもぎとった。
追われる立場の今シーズン、髙津監督はどんなビジョンを持ち、ここからどのようにチームを進化させていくのか。本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、髙津監督の組織論から、マネジメント術、若手育成術まで余すところなくお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――9月を迎え、ペナントレースも残りわずかとなりました。球団史上初の3連覇を目指して挑んだ今シーズンですが、惜しくもその夢は実現とはなりませんでした。
髙津 やっぱり3連覇を目指してスタートして、結果的にできなかったのは非常に悔しく思います。まだ終わったわけじゃないですけども、「3連覇」という大きな目標を立ててスタートしたわけですから、繰り返しになりますが本当に悔しいですね。今後については、一つでも二つでも。1勝でも2勝でも多く勝ちたいと思っています。
――目の前の戦いは続いていますが、現時点ですでに、今季の課題、反省点を洗い出したり、来季に向けての準備を進めたりするべきなのでしょうか? それとも、今は目の前の戦いに集中し、シーズン後に集中的に取り組むべきなのでしょうか?
髙津 いや、今できることであるならば、今のうちに取り組むべきだと思います。今、こうした状況だからできることもあります。例えば「育成」とか「成長」とかのために、若い選手たちに積極的にチャンスを与えることも必要でしょうし、今できることは、今のうちにやりたいと思います。
――これまでも、新人だった村上宗隆選手や奥川恭伸投手をシーズン終盤に起用して実戦経験を与え、それが翌年以降の飛躍へと繋がりました。まさに、そういったケースを想定しているのですね。
髙津 その通り、その通りです。奥川は今、マウンドに上がれていないですけど、それでも、ムネ(村上)やヤス(奥川)をシーズン終盤に起用したことは正しかったと思うし、あの経験があったから、彼らのその後もあったと思います。そういう意味では、これからは育成、成長を意識した起用が大切になると思います。
――その一人として、ルーキーの澤井廉選手が一軍での出場を続けています。ファームではホームランを量産しています。
髙津 魅力はありますね。「遠くに飛ばす」という、彼ならではの特長があるので、やっぱり魅力はありますよ。今はまだ課題も多いけど、一軍の雰囲気に慣れ、二軍との違いを感じ、勉強していってほしいと思います。それが、来年にも繋がると思います。