2022年、盤石といえる強さでセ・リーグ2制覇を果たした髙津ヤクルト。主力、ベテラン、若手がそれぞれの役割を果たし、まさにチーム一丸となって勝利をもぎとった。
追われる立場の今シーズン、髙津監督はどんなビジョンを持ち、ここからどのようにチームを進化させていくのか。本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、髙津監督の組織論から、マネジメント術、若手育成術まで余すところなくお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――7月19~20日は、昨年に続いてセ・リーグ監督としてオールスターゲームに臨みました。昨年は「とにかく預かった選手をケガなくお返しすることを考えていた」とのことでしたが、今年もやはり同様の思いでしたか?
髙津 それは去年とまったく一緒でしたね。いちばんは「無事にケガなく帰ってほしい」という思いでした。いくらオールスターゲームとはいえ、勝負事なのでやっぱり勝たなきゃいけないんでしょうけれども、それよりも監督として思うのは、うちも含めてセ・リーグ6球団から預かっている選手たちを、預かったときのままチームに返すこと。もちろん、ペナントレースでは敵にはなりますけども、「今後も活躍してほしいな」っていう気持ちが強かったですね。一にも、二にも、「元気にそのまま返したい」という気持ちが強かったです。
――試合途中にブルペンに行っていたため、コーチを務めていた阪神・岡田彰布監督が、髙津監督の代わりにリクエストを要求するという「珍プレー」もありました。
髙津 そうなんですよ。その一件があったんで、小笠原(慎之介・中日)しか見られなかったんです。亜細亜大学の後輩である(山﨑)康晃(DeNA)とは、ブルペンに行って話しました。本当はもっと、いろいろなピッチャーを見たかったんですけど、その一件があったんで、ずっとベンチに座っているようにしました(笑)。
――この期間というのは、ペナントのことは頭からは離れているんですか、それともやっぱり残っているものですか?
髙津 どう表現したらいいですかね。もちろん、頭から完全に離れることはないですね。例えば「このピッチャーはどうやって打ったらいいんだろう?」とか、「このバッターはこうやって打っているんだな」とか、やっぱりシーズンのことも頭に残しつつ、オールスターの采配をしていたかもしれないですね。特別、「じっくり研究してやろう」とか、「このバッターはどうやったら抑えられるんだろう?」とか凝視して、注視していたわけではないですけれども、心のどこかに多少そういうのはあったかもしれないですね。
――何か収穫はありましたか?
髙津 「収穫」というより「感想」になるけど、ひと言で言えば「みんなデカいな」と感じましたね。やっぱりオールスターに来る選手はみんなデカいです。もちろん、毎日ムネ(村上宗隆)を見ていても「やっぱりムネはデカいな」とは思うけど、オールスターではムネみたいなのがゴロゴロいるので。宮﨑(敏郎・DeNA)も背は高くないですけど、やっぱり横にデカいし、牧(秀悟・DeNA)もそうですし、中田翔、岡本和真(ともに巨人)は見るからにデカかった。先ほど名前を挙げた小笠原も、下半身はすごくしっかりしていましたね。一流選手たちにこんなことを言っては失礼かもしれないけど、とりあえず「デカいな」というのが、いちばんの感想でしたね(笑)。