2023ヤクルト髙津流 躍動の燕マネジメント

シーズン後半戦をどう戦うか――
「まだまだ絶対に巻き返せる!」

「もっと、どっしり感、安定感のある戦いを」

――改めてペナントレースについて伺います。7月を迎えて、9勝4敗という成績でオールスターに臨みましたが、この7月の戦いはどのように振り返りますか?

髙津 そうですね。まだちょっとムラというか、波というか、そういうのがありますよね。もちろん7月に入って勝ち越せているというのはすごくいいことかもしれないですけど、何て言ったらいいかな、もっと「どっしり感」というか、「安定感」というか、そういうものが備わってこないとダメでしょうね。今は色んなところでバタバタしてます。

――去年、一昨年の優勝したときと比べると安定感みたいなものはまだ足りないですか?

髙津 戦っているときは全力なので、あんまりそういうことは意識しないですけど、例えば昨年で言えば、なかなか連敗しなかったとか、ロースコアをモノにできていたとかということが多かったけど、そう考えると、昨年のような戦いができていないのかなっていう感じはしますね。去年、一昨年のような「安定感」はないかなという感じはしますね。

――この間は並木秀尊選手を一番バッターに固定して使い続け、少しずつ結果も出始めています。並木選手についてはどうご覧になっていますか?

髙津 塩見(泰隆)が離脱して、「はたしてセンターをどうしよう、誰を使おう?」と、最初は手探りだったんですけども、「やっぱり並木の俊足は相手にとっては非常にイヤだろうな」と考えました。先ほど安定感の話をしましたけど、彼の場合もまだまだ成績が安定したものとは言えないですけれども、こうやっていろいろ経験して、野球を勉強して、少しでも慣れていってくれているその途中じゃないかなと思いますね。

――以前、阪神戦で打球を後逸した場面もありましたが、監督は並木選手には割と厳しい言葉をグイグイ言ってるようなイメージがあるんですが、いかがですか?

髙津 ちょっと僕自身からしたら、もどかしさはありますね。一生懸命やっているので、「物足りなさ」とは違うし、「出し惜しみ」じゃないけど、「もっとできるのに」と思っている部分が強いんです。センターを守っていて守備範囲も広いんだから、ライト、レフトのボールでも、それを押しのけて捕りにいくぐらいの闘争心っていうのか、アグレッシブさっていうんですかね、「そういうところをもっと出していけば、もっといい選手、もっと相手の嫌がる選手になれるのにな」って思っています。右中間の球をサンタナに譲ったり、左中間のフライをレフトに捕らせてみたりしているけれど、「自分が捕れるボールだったら全部捕りにいきますよ」ぐらいのアグレッシブさがほしいですね。

――ずっと試合に出ている中で、アグレッシブさは出てきたという感じはありますか?

髙津 多少、人を押しのけてでも左中間、右中間のボールを捕りにいくようになったかなっていう感じはしますね。これは慣れたのかもしれないですし、実際「捕れるボールは捕りにいけ」とコーチに言われていて、その意味がわかってきたのかなっていう感じもしますし。あとは、走塁、打つことに関しても、まだまだなところはたくさんあります。でも、すべてを一気に詰め込むことは難しいので、今は成長過程だと思っています。

ご感想はこちら

プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

髙津臣吾 /
2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
出版をご希望の方へ

公式連載