2023ヤクルト髙津流 躍動の燕マネジメント

12連敗、そして苦しみもがく村上宗隆への思い――
ここを乗り越えて、僕らはさらに強くなる

悔しい思い、辛い時期を力に変えて――

――WBCの激闘から2カ月以上が過ぎました。監督としては主力選手を欠いた状態でキャンプ、オープン戦を戦った上で開幕に臨むことになりました。一方で、高橋奎二投手もなかなか調子が上がらずに1カ月ほど一軍登板がありませんでした。改めて、WBCの影響についてはどう考えますか?

髙津 勝ったから言うわけじゃないですけど、やっぱりWBCはすばらしい大会だったと思います。すばらしい大会で、すばらしい結果でよかったなって思ったのは正直な思いです。ただ、キャンプの途中で主力4人に抜けられて、公式戦の1週間前に帰ってきて、やっぱり当人たちも大変だったと思います。僕としても、やっぱり大変でした。三番、四番がいなくて、正捕手もいなくて、奎二もいないチームですから。オープン戦とはいえ、みんながそろわない中で、開幕を目指して調整していくのはやはり難しかったです。

――答えづらい質問かもしれませんが、現役監督として「WBCの弊害」はあると思いますか?

髙津 そもそも、「弊害はあります」と言ったら、選手たちに申し訳ないです(笑)。それに、主力選手を欠いた状態で開幕を迎えるというのは、他球団も同じ条件ですから。確かに、いろいろ苦しんでいる選手もいますけど、結果として「WBCで世界一になった」ということは、日本のアマチュアを含めた野球界にとってすごいことだと思います。そして、日本に帰ってきて、また仕切り直しをしてレギュラーシーズンを戦う選手の大変さも大きいと思います。だけど、世界一の日本の野球を背負って、世界一のリーグを目指してやっていくこと。それを目指して我々は毎日戦っていく責任というものはあるんじゃないかなと思いますね。

過去の連載をまとめた髙津臣吾監督のビジネス書『明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと』が、大好評発売中!

――現在は交流戦の真っただ中です。高橋奎二投手も一軍復帰を果たし、故障者も少しずつ戦線復帰しています。改めて、ファンの方へのメッセージをお願いします。

髙津 連敗期間中、選手たちはみんな口には出さなかったですけども、しんどい、辛い時間を過ごしたと思います。なかなか勝たせてあげられなくて、監督として責任を感じました。ファンの方にもたくさん心配をかけたと思います。でも、こんなことがあるからチーム力も上がっていくんだろうなと考えています。こうやって悔しい思いして、みんな成長する部分もあったはず。まだまだ前向きに戦っていきます。「応燕」、よろしくお願いします!

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

髙津臣吾 /
2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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