――昨年、大活躍をした村上宗隆選手ですが、本来の実力とはほど遠い成績が続いています。ここまでの彼の姿を、監督はどのように見ていますか?
髙津 いやもうその通り、まさに「ほど遠い」でしょう。全然ですね、厳しい言葉で言えば(苦笑)。でも、「しょうがない」と言ってはいけないのかもしれないけど、ありますよ、こういうことも。彼だって人間だし、いろんなものを背負ってグラウンドに立っているわけなので。だから、もちろん「打ってほしいな」とは思うけど、その時打てなくても、「何で打てないんだよ」とは思わないですね、絶対。今は本人は苦しくて楽しくないと思います。本当に楽しいのって、勝ってみんなで大騒ぎすることなので、その輪に最後に加わっていれば、僕はそれでいいと思っています。今は、いろんなものを感じながら、もがきながら、苦しんでいる最中ですよ。
――監督としては、そこから脱出するのをじっと見守るしかないということですか?
髙津 いや、もちろん僕にできることがあれば、何でもやりますよ。僕は、技術指導は絶対にしないんですけども、技術面ではないアドバイスがあるのであれば、いくらでも声をかけますよ。とはいえ、もちろんやるのは本人ですから、言葉は古いですけど忍耐力だったり、粘り強く諦めない思いだったり、そういうのは絶対必要です。もしも、今の段階で「もういいや」と投げやりになってしまうと、彼の成長は止まってしまいますね。もちろん、そんなことはないけど。
――その点に関しては、「彼のことならそこは何とかしてくれるだろう」という希望や信頼もあるわけですね。
髙津 希望もありますけど、希望、願望も含めてですね。願望も含めて「早くいつものムネに戻ってくれ」と(苦笑)。
――監督の中では「四番とクローザーは基本的には変えない」という強い思いがあるように見受けられます。村上選手も、どんなに不振にあえいでいても、ずっと四番起用が続いています。この点に対するこだわりや思いを教えてください。
髙津 気分転換とか、リフレッシュという意味で変えてあげるのはアリかもしれないですよね。僕が心がけているのは、「いつも気分よくプレーしてほしい」っていうのがいちばんなんです。たとえうまくいかなくても、それでも「よしやったるぞ」「次は何とかしてやろう」と思いながらグラウンドに立ってほしいと思っているので、そういう雰囲気作りであったり、そういう言葉がけであったりっていうことも僕の大きな仕事の一つだと思っています。村上については、今後も四番で起用するつもりでいるし、その思いは変わっていません。