2023ヤクルト髙津流 躍動の燕マネジメント

髙津流「失敗」を「成功」に変える考え方
大切なのは「負けた」という結果だけで終わらないこと

ペナントの行方を左右する交流戦18試合

――監督は常々、「各部門にリーダーというか、班長のような存在が大切だ」と話しています。昨年は、「投手は石川雅規、野手は青木宣親、外国人選手のリーダーはスコット・マクガフだ」と言っていました。マクガフ選手が退団した今、新たな外国人リーダーは誰なのでしょうか?

髙津 うーん、誰だろう……。オスナ、サンタナの野手二人はグラウンドでもロッカーでも常に一緒にいて、すごく仲がいいですよね。ぜひ、ロッカー内での選手たちの様子をお見せしたいほどなんですけど、国が違っても、人種が違っても、本当にみんななかよくやっているんです。だから今は、誰が班長という感じではないんですよね。野手の二人とサイ(サイスニード)はもう3年目なので、日本にもチームにも慣れてきているし、みんなが楽しく、みんなでなかよくやっている感じですね。

――では、マクガフ選手が去年まで築き上げてきたものが、オスナ、サンタナ、サイスニード選手に受け継がれ、それが新外国人のピーターズ、エスピナル選手たちへのケアにも繋がっているという感じなのでしょうか?

髙津 そうですね。でも、本当に何かがあったときに、リーダーであったり、班長であったり、まとめる人は必ず必要だと思います。今は、特定の誰とはなかなか答えづらいけど、そういう存在は絶対にいた方がいい。だけど、僕が心配しなくても、すでに彼らの中には自然とそういう存在がいるのかもしれないですね。勝負の世界においては適切な言葉じゃないけど、みんながなかよくプレーしている姿を見ていると、「今はこのままでもいいのかな?」とは思っています。

――5月30日からは、いよいよ交流戦が始まります。昨年は、この時期に一気に躍進を遂げることとなりました。改めて交流戦についての思いを教えてください。

髙津 最初に思うのは「楽しみだな」ということですね。普段戦わないチーム、試合をしない球場で野球をする楽しみはとても大きいです。ただ、この間の18試合がペナントレースを左右しかねない大事な時期でもあります。そういう意味では心して臨みたいです。

――交流戦対策として、DHやローテーションなど、新たな策はありますか? それとも、普段通りのスタイルで臨むのですか?

髙津 もちろん、相手チームの研究をした上で、「誰を初戦に投げさせた方がいいのか?」「このピッチャーは、ここで投げさせよう」などは決めていきます。DHに関しても、外国人選手か、ベテランの青木宣親か、もっと他の選手が入る可能性もあるけど、こちらも相手チームとの相性、研究によって変えていくつもりです。

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――「ペナントレースにはいくつかの節目がある」と常々話していました。まさに、この交流戦も、その節目の一つですね。

髙津 現在は厳しい戦いが続いていますが、選手たちは日々全力でプレーしています。延長12回の引き分けではあったけれど、21日のベイスターズ戦のように、選手たちの意地と根性が見えた試合も多くなっています。引き続き、チームスワローズとして戦っていきます。「応燕」よろしくお願いします!

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

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