――5月10日、甲子園球場で行われた阪神タイガース戦で、石川雅規投手が入団以来22年連続となる今季初勝利を挙げました。この試合についてはどんな印象がありますか?
髙津 僕だけでなく、みんながそうだと思うんですけど、必死さがすごく伝わるピッチングだと思いました。監督として、それではダメなのかもしれないけど、「石川が投げるときは応援する側に回ってしまう」という感覚はありますよね。もちろん、どの選手に対しても「頑張れ!」という思いはあるんですけど、石川の場合は特に「ここは抑えてくれ」「何とかここを乗り越えてくれ!」という気持ちになってしまいますね。もちろん、冷静に「もしもこうなったら、次のピッチャーを用意しよう」とか、打順を見ながら「代打の準備もしなければ」とは思うんですけど、ついついファン目線という感情になることはありますね。彼が投げているときは。
――やはり、現役時代をともに過ごしたからでもあるし、常に必死であるということもあるし、いつも研究を怠らないというさまざまな理由からなのでしょうか?
髙津 そうですね。でも、石川と現役を一緒にやっていない人でも、たぶん同じ感覚で彼のピッチングを見ている人は、チーム内にも多いと思いますよ。
――試合後のコメントでは、「今日のピッチングは若い頃の石川のようだった」と話していました。これは、どういう思いからの言葉でしょうか?
髙津 僕はもう、イヤというほど彼のボールを見てきました。昔から変わらず、昔から丁寧に投げていました。この日は、入団したときに「こんなに小さいのが入ってきて、本当に大丈夫なのかな?」と思った最初の頃のことを思い出しましたね。入団した頃と同じように、この日のピッチングは当時と変わっていなかった。常に「何とかしてやろう」という気持ちを持ちながら努力しているところも何も変わっていない。そんなことを思い出しながら見ていました。
――石川投手は200勝を目指していますが、この日の勝利で通算184勝となりました。
髙津 もちろん200勝を達成してほしいし、この日のようなピッチングを続けていれば、可能性は十分あると思います。この日のピッチングで、僕だけでなく、多くの人がそう感じたんじゃないでしょうね。ピンチを背負いながらもゼロに抑えていく、ピンチを迎えても打者に向かっていく。彼のファイティングスピリッツ、ファイティングポーズを持ち続けている。その姿を見るのは、僕はすごく好きですね。