2022年、盤石といえる強さでセ・リーグ2制覇を果たした髙津ヤクルト。主力、ベテラン、若手がそれぞれの役割を果たし、まさにチーム一丸となって勝利をもぎとった。
追われる立場の今シーズン、髙津監督はどんなビジョンを持ち、ここからどのようにチームを進化させていくのか。本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、髙津監督の組織論から、マネジメント術、若手育成術まで余すところなくお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――4月11日、神宮球場で行われた横浜DeNAベイスターズ戦で勝利し、監督通算200勝を達成しました。まずはその感想を聞かせてください。
髙津 実は、こんなことを言ったら失礼かもしれないですけど、感慨のようなものは特にないんです。監督初勝利のことですら、「あれ、いつだったっけな?」とじっくり思い出さないと浮かんでこないくらいです。みんなが頑張ってくれたおかげであるのは確かですけど、特別何か変わった感情があるかと言われたら、「ないです」という感じなんです(笑)。
――目の前の試合のことで、常に頭がいっぱいだからでしょうか?
髙津 そうかもしれないですね。シーズンに入る前に記者の方から、「あと7勝で200勝ですね」と言われた記憶はありますけど、それ以来、まったく意識していませんでしたね。
――これまでの戦いにおいて、印象に残っている試合はありますか?
髙津 勝った試合ではすぐには浮かばないですけど、負けた試合では神宮で20点取られて負けた試合がありましたよね?
――監督1年目となる7月28日の対阪神タイガース戦ですね。5対20と大量失点で敗れています。
髙津 あの試合はめちゃくちゃ印象に残っています。もう悔しすぎて、悔しすぎて。もちろん、勝った試合も印象深いものは多いし、その瞬間の感激だったり、喜びだったりというのは、もちろんあるんです。でもそれよりも、負けた試合の方が、何と言ったらいいのか難しいけど、「鮮明だ」というよりは、「強く残っている」という感じなんです。頭に強く残っているのは、悔しかった試合の方が多いですね。これは、野球の試合だけじゃなくて、僕の場合は人生全般においても同じですね。