2023ヤクルト髙津流 躍動の燕マネジメント

「WBCを経て、村上宗隆はさらに成長する」
髙津監督はWBCをどう見たか――

開幕まであと1週間、このワクワク感を楽しんで

――さて、2023年シーズンのチームスローガンは「さぁ、行こうか!」と発表されました。改めて、このフレーズに込めた意味、監督の思いを教えてください。

髙津 そのまんまの意味です。「次へ進もうか!」とか、「前へ進もうか!」とか、「もうワンランク上に行こうか!」とか、最終的には「勝とうよ、優勝しようよ!」という意味を込めました。そして、ファンの人にとっては、「さぁ、18時だ。よし、試合を見るか!」と感じてほしいなと思っています。

――以前、「監督の口から“勝つ”とか、“優勝”という言葉はあまり使いたくない」と語っていました。その思いに変化はありますか?

髙津 何も変わっていないですね。以前も言ったと思うけど、僕自身「連覇」とか「日本一」ということはまったく考えていません。去年もまったく同じことを言って申し訳ないですけど、「そんなに簡単なことじゃない」と思っているので、こうした言葉、フレーズはほぼ使わないです。

――前回は「昨年の悔しさを引きずったまま、今年は戦う」と話していました。「リーグ3連覇」「日本一奪回」を掲げるのではなく、「悔しさ」をバネにして、長いペナントレースに臨んでいくということですか?

髙津 そうです。僕はいまだに悔しいので、「もう絶対に負けたくない」と思って、去年の日本シリーズ後に感じた悔しさを引きずって戦おうと思っています。

――その「悔しさ」はチーム全体で共有すべきものなのか、それとも監督個人の思いとして、胸に秘めておくものなのか、この点はいかがですか?

髙津 これは個人の感じ方の問題なので、「去年は去年、今年は今年」と考えてゼロからスタートする選手もいるでしょうし、「家族や恋人の支えが力になる」という選手もいると思うので、それは各自の感じ方で構わないと思います。ただ、僕の場合はこれまでの野球人生において、さんざん悔しい思いをしたことをエネルギーにしてきたので、昨年の悔しさを力に変えて、今年はペナントレースに臨むつもりです。言い方は変かもしれないけど、「せっかく負けた」ので、負けてしまった責任、そしてこの悔しさを忘れずにいたいです。

過去の連載をまとめた髙津臣吾監督のビジネス書『明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと』が大好評発売中!

――さぁ、いよいよ開幕まで1週間となりました。改めて監督から、この連載を読んでいる方々にメッセージをお願いします。

髙津 1週間前には1週間前なりのワクワク感、ドキドキ感があると思います。ここから、「あと5日だ」「あと3日だ」「いよいよ、明日だ!」という風に、みなさんの中でカウントダウンをしていただきたいと思います。さまざまな想像を膨らませることができる時期なので、頭の中でいろいろなことをイメージしながら、みなさんも開幕を迎えてください。僕も今からワクワク感でいっぱいです。今年も「応燕」よろしくお願いいたします!

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

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2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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