2021年ついにセ・リーグ制覇、日本一を成し遂げた髙津ヤクルト。その悲願の裏には「絶対、大丈夫!」の言葉が物語る、髙津臣吾監督の卓越したチームマネジメント力があった。
王者として迎える2022年シーズン、髙津監督はどのように戦い、どのようにチームを進化させていくのか。
本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、髙津監督の組織論から、マネジメント術、若手育成術まで余すところなくお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――開幕からおよそ2カ月が経過しましたが、主力選手の故障離脱もありながら、貯金9つ、首位という理想的な形で交流戦に挑むことになりました。ここまでの戦いぶりは、どのように評価していますか?
髙津 いつも言っていますけど、正直、まだピンとこないですね。もちろん、順位は気になるし、意識もしていないわけじゃないけど、むしろ目の前の一戦、その日の試合を「どうやって勝つか?」ということの方が意識は強いですね。
――4月の段階では一進一退で5割ラインを行ったり来たりしていましたが、5月には大きく貯金を殖やすことができた要因はなんでしょうか?
髙津 5月の戦いに関しては、間違いなくピッチャーですね。現状、なかなか打線がつながらない状況下でピッチャーがしっかりとゲームを作ってくれた。勝ち切ることが難しい試合を拾ったり、何とか引き分けに持ち込んだり、ピッチャーの頑張りが大きいです。
――数年前までは、常に「投手陣が課題だ」と言われていましたが、今季はチーム防御率1位をキープし、先発ローテーションに関しても余裕をもって回しています。これはどういう点が改善されたからでしょうか?
髙津 現状、一軍、二軍合わせて6人のピッチングコーチがいます。この6人と、バッテリーコーチ、スコアラーさんたちがみんなで協力していろいろな角度から、課題や修正点を見つけて取り組んだ結果、成果であることは間違いないです。まだシーズン中なので、個々をべた褒めするようなことはしたくないけど、みんなが毎日本当によく勉強をして、時間をかけて予習、復習している成果だと思います。
――その「予習、復習」とは、具体的にどんなことでしょうか?
髙津 今はかなり情報分析も進んでいて、相手バッターの映像と自分たちの映像を見ながら、細かい数字を挙げて分析をしています。僕は全体ミーティングには参加しますが、個々の細かい分析については、各担当コーチが綿密なミーティングを行っています。その上で、「今回はこう攻めよう、狙い球はこうしよう」と時間をかけて対策を練っているのが成果を上げているのだと思います。