2020シーズン、未曽有の事態に見舞われる中で、リーグ最下位という悔しい結果に沈んだ東京ヤクルトスワローズ。今季は心機一転、投手陣の補強を最優先に掲げ、再起を誓う。
昨シーズンを踏まえ、「今年はさらに厳しくいく」と宣言する2年目の高津監督は、新戦力が加わった新たなスワローズをどのように変革し、リーグ制覇を目指していくのか。
本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、高津監督の組織論から、マネジメント術、若手育成術まで余すところなくお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――開幕してから2週間が経過しました。この間、本当にいろいろなことがありましたが、改めて、この期間を振り返っていただけますか?
高津 本当にいろいろなことがあった2週間でした。前回お話したように、僕は「開幕戦は143分の1試合ではない」という考えで、「特別な試合だ」と考えています。しかし、開幕3連戦は、阪神を相手に3連敗スタートとなりました。粘り強く、終盤追い上げる試合もあったけど、3戦ともすべて先制点を許し、常にリードを許したまま一度も勝ち越せず、ずっと追う展開というのは難しかったですね。
――いきなり、胃の痛く辛い日々が始まりましたね。
高津 いや、確かに負けるのはめちゃくちゃ悔しいんです。腹が立って仕方ないこともあります。でも、「辛い」とは思わないんです。もちろん、負けることが「幸せだ」とは思わないです。思わないけれども、僕はこれまでにもっと辛い経験をしてきましたから、監督として負けを喫することを「辛い」とは思っていません。
――「もっと辛い経験」とは、具体的にはどんなことですか?
高津 現役時代にクローザーとして結果が残せなかったこともそうですけど、プレーしたいのに投げさせてもらえない、ユニフォームを着させてもらえない、契約してもらえないというのは本当に辛いことでした。シーズン中にクビを宣告されて、グラウンドに行きたくても行けない。昨日まで一緒にプレーしていた仲間たちの試合を自宅でテレビ観戦する辛さと比べたら、まったく辛いとは思わないです。
――現役を引退しても、監督になってからも、きちんと試合が出来ることに喜びややりがいを感じていらっしゃるということですね。
高津 そうです。ましてや、去年も今年もこんなご時世ですから、きちんと試合が出来るだけでもありがたいし、いろいろな人たちに感謝しながら試合をしなければいけないと思っています。それは選手たちも同じ思いだと思います。