――そんな思いを抱いて戦っていた3月31日には青木宣親選手、内川聖一選手が新型コロナウイルスの濃厚接触者として自宅待機という非常事態が起こりました。
高津 本当に大変な事態になりました。でも、こうなることも想定した上で始まったシーズンですから、今さらどうこう言っても始まらない。新聞記者にも話したけど、こんなこともあっての野球だと思うし、こんなことあっての人生だと思います。こういうピンチのときにどうやって乗り越えるかということは、単に野球の問題だけではなく、人間の大きさに関係してくることだと思います。
――そんな非常事態下でしたが、3月30日からの横浜スタジアム3連戦は2勝1分け、翌巨人3連戦も1勝1敗1分けと、選手全員で必死に戦っている印象を受けます。
高津 うちは元々、潤沢な戦力を誇っていたわけではありません。勝つにしても、負けるにしても、常にギリギリの戦いをしてきました。ギリギリの状態を常にキープするというのは、精神的にも肉体的にも大変なことだけど、うちはそうしないと他球団と互角に戦っていくことはできない。そんな思いはこの騒動以前から変わりません。
――常に極限状態というのは心身ともにとても大変そうですね。
高津 本当に大変なことだと思います。そのギリギリのラインまで行かないと互角に戦うことができない。でも、そのラインを超えてしまうとパンクしてしまう。その辺りの判断は首脳陣はもちろん、本人にも求められることです。ただ、こんな状況下だからこそ、若い選手たちには「今がチャンスのときだ」と自分をアピールしてほしいんですけどね。
――監督は以前から、「もっと、選手間の競争を!」と訴えていましたね。
高津 キャンプのときから選手たちには伝えていたけど、僕が選手たちに求めているのは目が血走るぐらい虎視眈々とチャンスを狙うような思いでいてほしいんです。僕から見ていても、どうも仲良し集団に見えてしまうことがあります。「他人を踏み台にしてでも這い上がってやる」という選手が、もっと増えてもいいなという気はしますね。プロの世界は、そんなに甘っちょろいものではないですから。
――闘志むき出しの戦闘姿勢で臨む選手は、もっともっと必要ですか?
高津 僕は学生時代から「根性」とか、「気合い」というものだけを押し出すスタンスがイヤでした。そういうことに反発するタイプだったんですけど、今のヤクルトにはもう少し、勝負師として、「何クソ」とか、「絶対にやってやるぞ」という思いがあってもいいのかなという気はします。