「家族」というチームのつくり方

「スマホ育児」でうちの子に起きたこと

子どもにスマホを見せるのはNG?

子育てをしていると、子どもにスマホを見せてよいのだろうか、悩みませんか?

子育ての大変さは、0~3歳がもっとも大変だと言われます。これは本当にその通りだと思います。今では8歳のうちの息子も、体感的に一番大変だったのがこの時期です。
4歳を超えると、言葉を発するようになってコミュニケーションがとれますし、ご飯は自分で食べます。トイレも1人でできるようになるため、子育ての大変さが一気に減ったのを覚えています。

この0~3歳のもっとも大変な時期に、うちではよくスマホで動画を見せていました。
なぜなら、動画を見せるとぴたりと泣きやむからです。
また、テレビで子育て番組を見ていたら、いざという時に役立つ子育てアイデアの1つとして、スマホを見せるおとなしくなるというのが紹介されていたため、実際にそうしていたのです。
さらに、デジタルネイティブという言葉がありますが、小さい頃からスマホやタブレットがあるのが当たり前の世代では、SNSやITの理解の深さ、活用度合いが全然違う、という意見もよく耳にしていました。そのため、むしろ小さい頃からスマホを見せたほうがいいのではないか、くらいに思っていました。

しかし、やがて、子どもにスマホを見せるのはよくないのかもしれないと考えるようになり、悩むようになりました。

その子育て、本当に効果的?

子育てに奮闘し、いろいろな本や雑誌を読んだり、ネットで情報収集するなかで、最近は子どもの教育の成果が出たかどうかをしっかりデータをとり、それを元に科学的に分析しようという動きが活発になっていることを知りました。

「スマホを見せたほうが教育にはよいのか、よくないのか?」「英語は何歳から学ばせるべきか?」といった教育の疑問に対する答えを、しっかりデータで示すという動きが進んでいるのです。
かつては一専門家の意見や、直感や経験に基づいた意見があふれていたようなのでが、そうしたものに対してちゃんとデータを示すようになったようです。

ちなみに前回も書きましたが、子育てにおける一番の問題は、「子育てできると思いこむ」ことなのだそうです。子育ては誰でも受けてきているし、自分だって親に育てられた、だから自分もできるだろう、そう無自覚にタカをくくってしまいがちです。ですが、実際はそう簡単にはいきません。一般に、「正しい」と思われている多くの子育てのやり方でも、データをしっかりとってみると「正しくなかった」ということが判明することが少ないのです。

認識のギャップ例の1つとして、「教育のお金は、いつかけるのが正解か」というのものがあります。
では、ここで問題です。教育にお金をかけるべきなのは、以下のいずれのタイミングでしょうか。

①    就学前
②    小学校
③    中学校
④    高校
⑤    大学・大学院

認可保育園で育ち、公立の小学校、中学校に通い、高校受験に際して塾に通い始め、高校は公立と私立でいえば公立のほうが人気があり、大学で進学するなら私立に行く――というようになるため、年齢が進むにつれて教育費をかけたほうがいいだろう。私くらいの40代くらいの親世代からすると、このような認識が普通だと思います。

ところが、教育にかけたのお金が、進学率、就職率、年収にどう影響を与えたかをデータでとってみると、逆の結果が出てくるのです。
じつは「就学前から小学校の低学年まで」の教育投資をしていたほうが、収入が増えるという結果になります。つまり教育にお金をかけるなら、早ければ早いほどいいのです。

ちょっと脱線しますが、以下のような話もあります。
とある貧困地域で、教育が実施されていない1000人の就学前の子どもたちがいます。ランダムに選んだ500人には教育を施し、500人に対してそのまま教育を行いませんでした。
その後、学力、進学率、就職率、年収を調べたところ、教育を施した500人とそうでない500人では、進学率、就職率、年収すべてにおいて大きな開きが出たそうです。
このとき、どんな教育を施したのかというのが、この研究の面白いところです。それは、「遊びを考えさせる」という教育だったというのです。つまり、勉強を教えるのでもなく、遊具を与えて遊ばせるのでもなく、何もない原っぱで遊びを考えさせたのです。
ルールや設定を考えてゲームを創り出したり、追いかけっこして遊んだり、自分たちで考えた遊びで面白がれる力。これを就学前に行っただけで、年収に大きな差が生まれたわけです。

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プロフィール

高野俊一
高野俊一

組織開発コンサルタント。
1978年生まれ。日本最大規模のコンサルティング会社にて組織開発に13年関わり、300名を超えるコンサルタントの中で最優秀者に贈られる「コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を獲得。これまでに年200回、トータル2000社を超える企業の組織開発研修の企画・講師を経験。
指導してきたビジネスリーダーは累計2万人を超える。
2012年、組織開発専門のコンサルティング会社「株式会社チームD」を設立、現代表。
2020年よりYouTubeチャンネル『タカ社長のチームD大学』を開設。2023年6月現在、チャンネル登録者約3万5000人、総再生回数380万回。
2021年より、アルファポリスサイト上にてビジネス連載「上司1年目は“仕組み”を使え!」をスタート。改題・改稿を経て、このたび出版化。
著書に『その仕事、部下に任せなさい。』(アルファポリス)がある。

著書

チームづくりの教科書

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高野俊一 /
成績が振るわない。メンバーが互いに無関心で、いっさい協力し合わない。仕事を...
その仕事、部下に任せなさい。

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