こんにちは、感情コミュニケーション術専門家の沖本るり子です。これまでお話してきたように、日々の中で“やる気”を出すためには、さまざまなコツがあります。しかし、“やる気”が出ない原因によっては、それらの方法を駆使しても、どうしても“やる気”を出せない状況もあります。今回は、「“やる気”が出ないなら、いっそのことやめてしまおう」というテーマです。
やらなければならないことを目の前にして、動き出せずに、延々と不平不満を言ったり、やりたくない言い訳を考えながら時間を過ごすくらいなら、いっそのことやめてしまえばいいのです。というのも、その「勇気」を持つことが、結果的に“やる気”を出すきっかけになるからです。
日々のビジネスシーンの中で、「どうしても目先の仕事が進まない」「“やる気”が出せずに、仕事に取りかかることすらできない」といったような状況に陥ってしまった時、皆さんはどうしていますか? 「だからといって、やらない訳にはいかない」という責任感が働いて、何とかして自分の“やる気”を奮い立たせようとするのではないでしょうか。そして、結局“やる気”が出せないまま、「この作業、実は嫌いなんだよね」「本当は、もうやめたい」などと愚痴をこぼしながら、多くの時間を過ごしてしまっていませんか?
こんな時は、いっそのこと「やろうとする」のをやめてしまいましょう。嫌なら、やらなければいいのです。前に進もうとして、立ち止まってしまうのなら、いったん「やめる」という決断をして、後ろに下がってみて下さい。例えば、その日は残業を切り上げて帰ったり、その作業を中断して違う仕事をしたりするのです。
すると、当然、その間にも「やりたくない仕事」の期限が迫ってくるため、ますます状況は切羽詰ってきます。焦る気持ちも高まるでしょう。とくに仕事上でやらなければならないことは、結局、やらざるを得ない状況のまま変わりません。ですから、結果的に“やる気”に関わらずやることになります。すなわち、ひとまずやめてしまって気持ちを切り替えて、あえて自分を追い込んでから「行動」するのです。そうして「行動」し始めると、そのうちに“やる気”が出てくることが、往々にしてあるのです。
私の周囲にも、たまに「“やる気”が出ないんだよね」などと言いながら、なかなか動き出せない人がいます。そうした人が、ある程度時間が経っても状況を変えることができずにいるときには、私は「“やる気”がないなら、やめたら?」と言います。客観的に見て、ずっと不平不満を言っているだけの人には、そうアドバイスしています。
重要なのは、“やる気”がないままの状況で立ち止まらないことです。時には、思い切って「やめる勇気」を持つことも必要なのです。