小川流2018燕改革!

見えてきたクライマックスシリーズ進出。
勝負の9月、指揮官が考えていること

2018.09.14 公式 小川流2018燕改革! 第12回

いまだ記憶に新しい2017シーズンの屈辱的な戦績。ドン底まで低迷したチームを立て直すべく舞い戻った小川監督は、宮本慎也ヘッドコーチを要に据えたチーム改革を断行した。ハードワークに見られる「厳しさ」の追求は、選手達の意識をどのように変え、チームにどんな変化をもたらしているのか――。インタビュアーにライター長谷川晶一氏を迎え、小川監督のスワローズ改革に迫っていく。

(インタビュアー:長谷川晶一)

「よく踏ん張っている」一方で、
「勝ち切れない」もどかしさも

――8月終了時点で57勝56敗、単独2位をキープして、9月に入りました。その後も5割前後を行ったり来たりという戦いが続いています。現状をどのように見ていますか?

小川 5割を境にして、勝ったり、負けたりをくりかえしているし、投打の歯車が噛み合わずになかなか波に乗り切れないなというか、勝ち切れないという思いもある一方で、最後まであきらめない執念を持ちながら、「よく踏ん張っているな」という思いもありますね。

――今、おっしゃった「勝ち切れない」理由は何だとお考えですか?

小川 これは相手があることなので、一概には言えないですけど、踏ん張り切れない試合がいくつかありました。たとえば、8月最後の広島戦なんかは、まさにその典型でした。

――8月23日、マツダスタジアムでの対広島東洋カープ第18回戦。序盤で7対0と大量リードしていたものの、最終回にクローザーの石山泰稚投手が打たれて、8対9でサヨナラ負けを喫した試合ですね。

小川 この試合は序盤のリード以降、うちは追加点がなかなかとれなかった。でも、広島は5回、6回、7回と小刻みに点を取っていき、最後に4点を奪った。その前の試合もそうです。広島は初回から5回まで、毎回得点でした。3回表の時点ではうちが4対2で勝っていたのに、5回裏終了時には4対7とリードを許し、結局はそのまま敗れました。こういう毎回失点というのは、防ぎようがあると思うけど、そこで防げなかった。リードした後に追加点も奪えなかった。そういう部分が「勝ち切れない」と感じるところですね。

――カープが抜け出している現状、「1位狙い」というよりは、「CS進出」に照準を定めるべきなのか、戦い方に変化は生まれますか?

小川 もちろん、この時期にこの位置にいるということは、「CS進出」というものは視野に入っています。だからと言って、優勝の可能性がある段階で「2位でいいや」とは思わないし、目の前の試合にベストを尽くすというのは変わらないです。でも、本音を言えば、広島にマジックが出て、着々と減っている現状では、それをひっくり返すのは厳しいとは思います。そうなると「CS進出」は、最低限の目標として意識しているのも事実です。

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プロフィール

小川淳司
小川淳司

千葉県習志野市出身。習志野高校卒業後、中央大学に入学。1981年ドラフト4位でヤクルトに入団。1992年現役を引退すると、球団スカウトやコーチなどを経て、2010年シーズン途中に監督に就任。2014年シーズンまでチームを率いる。退任後は、2017年シーズンまでシニアディレクターを務め、2018年から再び監督となる。

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