人事の超プロが教える、リストラ時代を生き抜く戦略

中高年社員の生き残り戦略――
専門職を極めるべきか、社内マネジメントに関わるべきか

自分の専門性を見極めるための3つのチェックポイント

40代・50代になって、「専門職を極めていくか」「社内マネジメントに積極的に関わるか」といった今後の選択について悩んでいる人は多いのではないでしょうか?
この二者択一は、リストラに関わる非常に重要な問題です。

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人事もまさにそこを見ています。40〜50代で何らかの専門性を持っていても、同程度の専門性を持っている20〜30代の人材がいるなら、会社はそちらを選びます。

なぜなら、お給料が安いから。これはマネジメントにおいても同様です。もちろん、どっちつかずが一番危ないのは、言うまでもありません。

専門職かマネジメント職か。今回はこのテーマについてお伝えしたいと思います。

まず「専門職を極めていく」とは、具体的にはどのように考えたらいいのでしょうか。大事なポイントは、次の3つです。

① 社内に自分と同程度、あるいはそれ以上の同じ専門性を持った人材はいないか
② 将来性はあるか。その専門性は5年後も社内で輝いていられるか
③ その専門性は、独立できるレベルか、社内だけでなく社外でも評価されているか

①は、特に下の世代に自分と同程度の専門性を持った人材がいないか考えてみてください。いるようであれば、それ以上の専門性を獲得しないと厳しいでしょう。

②は、慎重に見極める必要があります。自身が身につけた専門性を極めていっても、将来的に不要になってしまう技術・技能だったら意味がありません。

③は、独立はしなくても非常に重要です。専門性とは社外影響力を指します。社外でも評価されるレベルの専門性でなければ、社内で生き残るのも難しいかもしれません。

①〜③をクリアしていて、自身の専門性が本当に会社や世の中の役に立つのであれば、専門性を極めていくのがいいでしょう。専門性を極めれば、定年後も役に立つかもしれません。変に薄めず、今後も磨きをかけていくのが正しい選択です。

マネジメントも極めて高度な技術・技能

では、①〜③をクリアしていない場合は、どうしたらいいのでしょうか。その場合は、やはり社内マネジメントに積極的に関わっていくべきでしょう。

ただしマネジメント職は、専門技術がない人の逃げ道ではありません。そこには、しっかりしたロジックがあるし、やり方があります。

誤解している人が多いのですが、マネジメントは専門職のひとつです。マネジメントの3大要素、タスクマネジメント、ヒューマンマネジメント、リスクマネジメントがそれぞれある種の学問になるほど、極めて高度な技術・技能が求められます。

ドラッカーさんの『マネジメント』を考えてみてください。あの本は、相当分厚いですよね。マネジメントには、それぐらい奥深い、広範な知識が必要とされるのです。

『マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則』(ピーター・F・ドラッカー(著、上田惇生訳/ ダイヤモンド社)

マネジメントの道に進むなら、それこそまずは『マネジメント』をしっかり読んでから、マネジメントについて改めて勉強していくことが必要になります。

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プロフィール

西尾 太
西尾 太

人事コンサルタント。フォー・ノーツ株式会社代表取締役社長。「人事の学校」主宰。
1965年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。いすゞ自動車労務部門、リクルート人材総合サービス部門を経て、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)にて人事部長、クリーク・アンド・リバー社にて人事・総務部長を歴任。
これまで1万人超の採用面接、昇降格面接、管理職研修、階層別研修、また多数の企業の評価会議、目標設定会議に同席しアドバイスを行う。
汎用的でかつ普遍的な成果を生み出す欠かせない行動としてのコンピテンシーモデル「B-CAV45」と、パーソナリティからコンピテンシーの発揮を予見する「B-CAV test」を開発し、人事制度に活用されるキャリアステップに必要な要素を体系的に展開できる体制を確立。これまで多くの企業で展開されている。また2009年から続く「人事の学校」では、のべ5000人以上の人事担当者育成を行っている。
著書に『人事担当者が知っておきたい、10の基礎的知識。8つの心構え』(労務行政)、『人事の超プロが明かす評価基準』(三笠書房)、『プロの人事力』(労務行政)、『人事の超プロが本音で明かすアフターコロナの年収基準』(アルファポリス)、『超ジョブ型人事革命 自分のジョブディスクリプションを自分で書けない社員はいらない』(日経BP)などがある。

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