ここ数年、「50代についての意見を聞かせてください」というご依頼が増えてきました。当連載もそうですし、『人事の超プロが教える 会社員 50歳からの生き残り戦略』(PHPビジネス新書)という本も出させていただきました。
やはり中高年を対象とした黒字リストラや早期退職・希望退職を募る企業が増えているからでしょう。今回も「人事は中高年を実はこう見ている」というリクエストをいただきました。私は人事部時代、中高年の社員をどう見ていたのか。今回はこうしたテーマで、率直な意見や感想をお伝えしたいと思います。
人事は中高年をどう見ているか。これ今でもそうですが、はっきり二分しています。「ありがたいなぁ」と思う中高年と「困ったなぁ」と思う中高年がいて、格差が激しいです。これは人事に限らず、弊社が行ったアンケート「50代社員に関する意識調査」でも以下のような意見が多く見られました。
「本当に凄いなって思う人と、その逆の人にはっきり分かれます」(20代・男性)
「優秀な人とそうでない人の差が大きい」(20代・女性)
「個人差が大きく、できる人は本当にできるが、そうでない人もいる」(30代・男性)
では、どのような中高年が「ありがたいなぁ」で、どのような中高年が「困ったなぁ」なのか、具体的に説明していきましょう。
「ありがたいなぁ」と思う中高年は、何かの相談をしたり、若手が困っているときに一定の解答を与えてくれる人です。私がいた会社では人事的なことで相談すると「西尾、そういうときはこうやってやるんだよ」「こういう風にやると意外とうまくいくぜ」と教えてくれる年配の管理職がいました。
また、部長さんなどの役職者に限らず、『踊る大捜査線』のいかりや長介さんみたいな現場叩き上げのかっこいい中高年の方々も「ありがたいなぁ」と思う方々でした。
私が新卒で入社した自動車メーカーの人事労務課では工場の職長さんみたいな人とやりとりすることが多く、「南極行ってきたよ、南極」と新人に対しても普通の目線で話してくれたり、「これはな、こうやっているんだよ」と仕事を教えてくれたり、「どうしたらいいと思う?」と対等に話してくれる、ありがたい中高年の方々がいました。
新人や若手に対してフラットに接してくれて、いろいろなことを教えてくれる。こういう中高年は、ありがたいですし、かっこいいです。
人事部長としてありがたかったのは、やはり本当に仕事ができる人、あるいは役職に見合った力を発揮してくれる人でした。役職に求められていることを理解し、しっかり実行してくれる。こういう人は、人事にとって本当にありがたかったです。