「日立 全社員をジョブ型に」というニュースが日経新聞の1面トップになっていました。日立製作所は今年7月にも事前に職務の内容を明確にし、それに沿う人材を器用する「ジョブ型雇用」を本体の全社員に広げるということです。
ジョブ型雇用、テレワーク、ワーケーション、週休3日制など、働き方の多様化が急速に進み、戸惑いを感じている人も多いでしょう。
ですが、働き方が変わっても、大事なことは変わりません。それは自分の「ミッション」を明確にし、それを遂行する目標を達成すること。
これができる人は、時代の変化に左右されることなく、会社から必要とされ続けるでしょう。ジョブ型でも成果主義でもテレワークでもワーケーションでも全部一緒です。
たとえばテレワークは社員の働く姿が見えないので人材管理が難しいと言われていますが、ミッションと目標が明確であれば、過程を管理する必要なんてありません。
どんな仕事にも「ミッション」と、それを遂行したことを確認する「目標」があります。そこが曖昧だから、上司が部下のパソコンの稼働状況を監視したり、チャットツールで頻繁に連絡したりしなくてはいけないのです。
ミッションと目標が明確になっていれば、上司は進捗を管理し、成果を確認するだけでよくなり、部下も自発的に成長できます。今後ますます必要とされていくのは、このような働き方ができるセルフマネジメントができる人材です。
自らミッションを示し、目標設定を行い、上司の許可を得て、目標を達成し、成果を出す。どんなに働き方が変化しても、これができる人はリストラの対象になりません。
ミッションと目標設定によるセルフマネジメントは、今に始まったことではなく、これまでも「目標管理制度(MBO)」として普通に求められてきたものです。
MBOは経済学者のドラッカーが1950年代に提唱した概念ですから、それこそ70年以上も昔から重要とされてきましたが、これができる人は現在でも多くありません。
私は仕事柄、多くの企業の目標設定会議や管理職研修に出席させていただいているのですが、そこでよく見かけるのは、「ミッションを明確にできない」「目標の設定基準(どうなったら目標達成といえるのか)を明確にできない」という光景です。
「あなたのミッションは何ですか?」
この質問にあなたは答えられますか。先を読み進める前に、ご自身でも考えてみてください。ミッションとは、自分が果たすべき使命です。あなたは会社でどのような価値を提供する役割を担っているのでしょうか?
実は目標設定会議でも管理職研修でも、この質問に答えられる人はほぼいません。あるいは、ちょっとズレていることが多いです。ミッションは、次のように表現します。
「(〇〇に対して)〇〇をより〇〇する」
ミッションとは使命です。自分の当期メインの役割や担当、創出する価値を表します。誰に対してどんな価値を提供するのか。まずはその相手を考えてみてください。お客様、部下、上司、経営陣、株主…あなたが価値を提供する相手は誰ですか?
その相手に対して、どんな価値を提供するのか、より喜んでもらうのか。それを簡潔に表したものが、ミッションです。「お客様により喜んでもらえる商品を提供します」でも「社員に対してより働きやすい環境を提供する」でもいいのです。
こうしたミッションをちゃんと言えない人がとても多くいます。若手ならまだしも50代の管理職でも少なくありません、これは非常にまずい状態です。組織における自身のミッションを認識できていないことは、リストラの要因にもなり得ます。