今回も引きつづき、私の“野球との歩み”を振り返っていきましょう。前回お伝えしたとおり、高校時代まで私にとって「プロ野球」は憧れはあれど遠い存在でした。そんなプロへの道がぼんやりと見え始めたのが、大学野球だったんです。
ベスト16に残った夏の甲子園――これを最後に高校野球を卒業し、進路について考える時期がやってきました。同期はプロ野球に進んだ高嶋(徹)をはじめ、専修大学や亜細亜大学など、大半が野球の道を歩むことを早々に決めていました。私も……と言いたいところですが、実際はそうではありませんでした。というのも、高校では3年間ひたすら野球に没頭し、ほとんど“完全燃焼”していたんですね。ましてや自分の力がプロの世界で通用するとは夢にも思っていませんでしたから、ここまでかなというのが正直な気持ちでした。
でも、次々に進路を決めていく仲間を見ているうち、「さて自分はどうしようか?」と焦りを感じ始めます。ただ、どんな道をイメージしても、何かしっくりこなくて……結局、自分にできるのは野球しかなかったんですね。
ちょうどそのとき、たまたま野球部の監督から、日本大学を勧められたんです。それで、軽い気持ちでセレクション(野球テスト)に参加することにしました。高校入学時のセレクションもそうでしたが、ここでも「人の運」に恵まれます。当時の日大野球部の監督は、私と同じ栃木出身だったんですね。もちろんそれだけが理由ではないでしょうが、監督は私のことをいたく気に入ってくださり、何とか合格することができたんです。