早いもので、この連載も14回目を迎えました。これまでは主にチームやマネジメントについて触れてきましたが、今回からしばらくは、私がこれまでどのように野球と共に歩み、現在の野球観を培ってきたか、ちょっとだけ振り返ってみたいと思います。
まず、野球との出会いですね。これはもう覚えていないほど小さい頃のことで、もしかしたら小学校に入る前だったかもしれません。近所に住んでいた高校生から、お古のグローブをもらったんです。不思議なのは、このグローブ、左利き用だったんですね。私は昔から右利きでしたから、普通ならそのグローブは使えません。でも子供って何かもらうと、とりあえず試してみるものでしょう? それで、利き手用ではないそのグローブを使ってみたんだと思います。現在も右利きなのは変わりませんが、野球だけは左投げ左打ちです。間違いなく、このグローブの影響でしょうね。
そんなわけで、もらい物のグローブをきっかけに野球を始めることになりました。もともと野球が好きだったとか、憧れがあったとか、そういうものではないんですね。あくまで道具が先にあって、「それじゃあちょっとやってみよう」という感じでやり始めたわけです。
小学校3年生くらいからは、近所の子供たちで集まって野球をやるようになりました。といっても全部で5、6人しかいなかったので、少人数でもできるようなローカルルールを考えながら遊んでいましたね。
その後、小学校の野球チームに入って、5年生のときにはピッチャー、ファースト、外野など、いろんなポジションを経験しました。身長は小柄で、体格も普通だったと思います。天性の才能があって……というわけで
はなかったんですが、足だけは速くて、運動神経は悪くなかったんですね。だからなんとなく投げたり打ったりできていたんだと思います。そんな感じで6年生では4番でピッチャーになっていました。
その頃、野球以外では、いつも外で遊んでいた記憶があります。家でじっとしているということはほとんどなかったですね。住んでいたのは栃木の田舎のほうでしたし、当時はテレビゲームなどもありませんから、友達と遊ぶというと外にいくしかなかったのでしょう。
今でもよく覚えていますが、当時私は自転車に乗ることができませんでした。友達はみんな乗れるのですが、私はどういうわけかいつまで経っても乗れない。だから遊びにいくときは、友達の自転車について私だけ走っていたんですよ。けっこうな距離を。そういうわけで、走るのは得意でした(笑)足が速かったのは、案外このあたりが関係しているのかもしれませんね。