――監督業はストレスの連続だと思います。どのようにストレスを解消していますか?
真中:ストレスはもちろんありますけど、家に帰って子どもの顔を見たりすれば意外とスッキリしますね。嫁さんとしゃべっているだけでもカラッとしちゃいますし。悔しい思いがあるのは、ゲームが終わってクラブハウスから車に乗って家に戻る間ぐらいまでですね。でも、家に帰れば意外とスッキリしています。で、翌日にはまた気持ちを新たに、その日に臨んでいます。その辺の切り替えはできていると思います。
若松:僕も同じ。負けた直後、帰りの車の中では大声で叫んで、家まで文句を言っていましたね(笑)。音楽のボリュームを大きくして、ハンドルを握りながら、「コノヤロー!!」と叫んだりしてね。でも、「そうだ、家に帰ったら冷たいビールを飲もう」と考えを切り替えて、それを楽しみに家に帰っていました。僕の場合も、自宅に戻るときにはスッと考えを切り替えて、おいしい食事を食べて、冷たいビールを飲んで、「じゃあまた明日から頑張ろう」とそういう感じでしたね。
――監督というのは感情を抑えなければいけない職業なのでしょうか?
若松:僕の場合は、あまり感情を表に出さなかったけれど、逆に感情を思いっきり出すタイプの監督もいますよね。
真中:若松さんは我慢して、感情を表に出さないタイプの監督でしたよね。だから、僕も自然とそのスタイルになりましたね。
若松:でも、今は真中監督に限らず、感情を表に出す監督ってあんまりいないでしょ? 抑える監督の方が多いんじゃない?
真中:そうですね。せいぜい、阪神の金本(知憲)さんぐらいじゃないですか(笑)。
若松:僕たちの年代だったら星野(仙一)さんでしょ。今で言ったら金本ぐらいかな? あとはほとんど感情を表に出さないよね。
真中:さっきも言ったけど、それは育った環境の影響が大きいと思いますよ。
若松:そういうものなのかな?
真中:僕が入団したときの監督は野村克也さんでしたけど、野村さんも暴れたり、激高したりはしないですよね。続く若松さんだって暴れなかったですよね。さらにその後の古田(敦也)さんももちろん暴れたりしないじゃないですか。そういうのを見て育っているから、「監督とは感情を表に出さないもの」だと思っているわけですよ。でも、パフォーマンスじゃないですけど、感情を表に出して多少暴れた方が選手を鼓舞できると考えるタイプの監督の下でプレーをしていると、やっぱりピリピリしていたりすると思うんです。「親の教育」じゃないですけど、野球の場合も、それまで仕えてきた監督の影響を受けるものなんだと思います。