――さて、2001年、若松監督の下での日本一達成。当時、真中さんは主力レギュラーとして活躍されていました。お二人にとってのあの1年はどういう思い出が?
若松:あの年は3年契約最後の年だったんです。それで、「今年は頑張らないと」という感じで、キャンプから猛練習を行いました。それまでの2年間は連続4位で、なかなか勝ちグセがチームに根づかなかった。でも、「これじゃ絶対ダメだな」と思ったので、この年はオープン戦からでも勝ちにいこうと、チームに勝ちグセを根づかせる姿勢でやっていたんだけどね。それが3年目でようやく実が結んだよね。とにかくあの年はほとんどレギュラー連中が固定されていたからね。
真中:そうですね。あのときはレギュラー野手8人全員が規定打席に到達しましたからね。
若松:そうそう、そうだったよね。一番・真中満、二番・宮本慎也、三番・稲葉篤紀、四番・ペタジーニ、五番・古田敦也、六番・ラミレス、七番・岩村明憲、八番・土橋勝征と、レギュラーメンバーがみんなケガをしないで頑張ったからね。
真中:レギュラー全員が、ほとんどケガすることなく、年間を通じて試合に出続けましたからね。それはやっぱり強いですよね。
若松:故障者がいなかったから、すごい助かったんですよ。今年のことを考えると、本当に恵まれていましたね。
真中:そうですね。監督の采配の差もあるかもしれないけど、やっぱり今年は故障者が多いのでやりくりが難しいですよね。
若松:いやいや、監督の采配で勝てるゲームなんて年に2、3試合あるかどうかだよね。主力選手が次々と故障してレギュラーを固定できない状態では、采配のしようもないから。
真中:そういう意味では、01年は長期間離脱する選手もいなくて、順調に戦えたシーズンだった気がしますね。ただ、シーズン終盤にはなかなか勝てない時期もありました。
若松:01年のペナントレース終盤に巨人に3連敗しちゃったことをよく覚えているな。その翌日から名古屋で4連戦だったんだけど、みんなを集めて全体ミーティングをしたこともあったよね。
真中:若松監督のミーティングの後、結局4連勝しましたね。
若松:あのときは、「ここでズルズルいったらダメだ」ということで、みんなを集めて「オレはお前たちを信じているから、一生懸命やってくれ。今はそれしか言えないけど、頑張ろうや」って言いましたね。
真中:あのときは「本当に信じているから」という話をされましたよね。若松さんはいつも選手の尻を叩いて、「頑張れ、頑張れ」っていう監督でしたね。僕の場合も、時機を見て、全体ミーティングをします。これまでの監督生活で言えば、2つパターンがあって、15年の終盤などは、「優勝に向けて選手を鼓舞するミーティング」で、苦しい戦いが続く、今年みたいな場合は「選手を励まし、モチベーション上げるためのミーティング」をしますね。
若松:当然、鼓舞して勢いづかせるミーティングとモチベーションを上げるためのミーティングとでは、狙いも伝え方も変わってくるよね。
真中:勝つ方のミーティングは、ちょっとかっこつけて、綺麗な言葉を並べながら話すことができるので、そんなに難しくはないですよね、「お前らは優勝するに相応しいチームなんだ」とか。「お前らが勝たないと他に勝つチームはない」とか、そんなことはいくらでも言えるんです。ただ、負けているチームのモチベーションを上げるのは、結構難しくて。「とにかく恥ずかしいプレーだけはやめよう」とか、「自分たちのできることだけはしっかりやろう」とか、「勝った負けたはこっちの問題だけど、手を抜いたり、途中で諦めてしまったりすることだけはやめよう」と話しましたね。