――監督としての喜び、そして辛さを教えていただけますか?
若松:監督になってからは「喜び」ってないな(笑)。まあ、本当に01年に優勝したときぐらいだね。嬉しいっていうのは。
真中:胴上げで一回転したときですか? 監督を一回転させたのは石井一久ですからね。僕らはきちんと押さえていましたから(笑)。
若松:リーグ優勝と日本一と2回やらせてもらったけど、胴上げの瞬間だけは「喜び」と言える一瞬だったな。この瞬間を外したら、あとはほとんど耐えることばかりだけど。
真中:僕も同感ですね。勝った瞬間だけはホッとするけれど、それ以外は大変なことばかりですね。例えば2年前に優勝争いしているときもずっと苦しかったし、今年のように最下位で負けているときも苦しいですし、気持ちのやすらぐ時間はないですね。それでも、勝った瞬間の喜びを味わうために、僕らはすべてをかけているんです。
――さて、チームは苦しい状態がずっと続いていますが、若松さんから、真中監督へ激励の言葉をいただけますか?
若松:いや、正直言えば「今日は何をしゃべっていいのかな?」って思ってここに来たんですよ。チーム状態が良くて、勝っていれば好きなことをしゃべれるけど、負けがこんでいるときにはしゃべりにくいんだよね(笑)。
真中:若松さん、今日よく来てくれたなと思いますよ(笑)。本当にありがたいです。
若松:僕から言えること、言いたいことは、これからもじっと耐えながら頑張ってほしい。これに挫けずに頑張ってほしい。そんなところですね。故障者が戻ってくれば、決して他球団に引けを取らない戦力なんだから。
真中:ありがとうございます。もう元気でましたよ、若松さんに「監督とは耐えること」だって言われて、改めて「そうだな」って認識できました。これからも、耐えて、耐えて、いいチームになるように頑張ります。
若松:真中監督は明るいからいいよ、本当。ベンチ見てもやっぱりむすっとしてないもんね。常に選手を信頼して、采配しているのが伝わってくる。これは大事なことですよ。負けているときに監督まで落ち込んでいたらどうしようもないからね。
真中:その点は意識していますね。「喜びの感情」は自然に出てくるものだから、特に意識はしていないけれど、辛いとき、大変なときほど、あんまりシュンとしないようにしています。負の感情は選手たちにも伝わってしまうから。僕らも悔しいけど、選手はもっと悔しいだろうし、その点は、努めて明るく振舞うように意識はしますね。
若松:まだまだ厳しい状況だけど、後半戦もぜひ頑張って。僕はただ応援することしかできないけど、いつも応援しているから。
真中:ありがとうございます。本当に元気ができました。後半戦、少しでも順位を上げられるよう、頑張ります!
取材協力:長谷川晶一
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