真中流マネジメント

三木肇ヘッドコーチが語る真中ヤクルト①
~選手を助け、監督を後押しするNo.2の役割~

2017.05.12 公式 真中流マネジメント 第27回

ヘッドコーチ――監督と選手、コーチをつなぐパイプ役

組織のトップである監督を支える
ナンバー2の役割と存在意義とは?

こんにちは、東京ヤクルトスワローズの三木肇です。今年から、真中満監督の下でヘッドコーチを務めています。今回の第27回から3回にわたり、この「真中流マネジメント」にて真中ヤクルトにおけるヘッドコーチとしての役割について、少し語らせていただければと思っております。

そもそもヘッドコーチというのは、打撃コーチ、投手コーチ、走塁コーチなど、それぞれの専門分野を持つコーチの仕事もする傍ら、チーム全体を見ながら、オールマイティーに活動する存在だと思います。監督が組織の「トップ」だとしたら、ヘッドコーチは「ナンバー2」ということになります。と言っても、今年40歳になったばかりの僕は、10人いるコーチの中でも下から2番目の若さなので、立場としては「ナンバー2」ではあるけれども、自分自身も日々試行錯誤しながら勉強を続けているところです。

しばしば、「ヘッドコーチとはどんな仕事なのですか?」と聞かれるのですが、簡単に言えば、僕の仕事は「監督のサポート役」です。たとえば、コーチの意見を取りまとめて監督に伝えたり、その逆に、監督の考えをコーチに伝えたりすることもあります。あるいは、選手たちの考えていること、悩んでいることを聞き、それを監督、コーチと共有したりもします。要は監督とコーチや選手との間に立つ「パイプ役」となって、チーム全体を取りまとめる役割です。会社で言えば、上司と部下との間で、あれこれと気を遣う中間管理職のようなものなのかもしれません。

野球チームという組織は、監督が最終的に決断を下さなくてはならない集団です。ヤクルトの場合は、真中監督の責任もとで判断し、選手起用や采配など、日々の試合に臨んでいます。しかし、監督だって人間です。決断の際に、迷うことも、悩むこともあるでしょう。そんなときに、ヘッドコーチである僕がきちんとサポートすることが重要になります。幸いにして、真中監督は「人の意見を聞いてくれる」タイプの監督なので、僕をはじめとするすべてのコーチや、選手たちの声に真摯に耳を傾けてくれます。だからこそ、僕はヘッドコーチとして、監督に正確な情報を届け、決断の際にはその後押しができるように、日々、チーム全体に目配り、気配りをしているのです。

今季のヤクルトは開幕ダッシュがなかなかうまく行きませんでした。負けが続いていれば、チームのムードも悪くなったりします。けれども、そんなときこそ、今日できることをしっかりと積み重ねていく大切さを痛感しています。もちろん、現状を打破するために新しいことに挑戦することも必要です。けれども、新しいことばかりをやっていると、それまでに積み重ねてきたものが台無しになる可能性もある。その辺りのバランスを監督とともに見極めるのも、ヘッドコーチの役割であり、存在理由なのかもしれません。

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プロフィール

真中満
真中満

1971年栃木県大田原市出身、宇都宮学園高等学校を経て日本大学卒業後1992年にドラフト3位で東京ヤクルトスワローズに入団。
2001年は打率3割を超えリーグ優勝、日本一に貢献。2008年現役を引退。
2015年東京ヤクルトスワローズ監督就任1年目にして2年連続最下位だったチームをセ・リーグ優勝に導く。
2017年シーズン最終戦をもって監督を退任。

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