「思い描いていた自分と違う」「自分と他人を比べて苦しくなる」……そういった悩みの原因の大半は、自分の外側ではなく、自分の内側にあります。心の中で迷子になっている本当の気持ち(=未処理の感情)が引き起こしているのです。等身大の自分を受け入れて、ラクに生きたいと思いませんか? 本連載では、アルファポリスより好評発売中の『そろそろ『わたし』でいきていく ~今日から自分を好きになるために~』(城ノ石ゆかり)から一部を抜粋し、そのヒントをお届けしていきます。
自尊感情や自己肯定感という言葉をよく見聞きする時代になりました。
自己肯定感が高いから人は成功するのでしょうか?
自尊感情さえ高ければすべてがうまくいくと思いますか?
自己肯定感が高すぎる人は、実際のところ自己中心的な思考に陥りやすい傾向にあります。そういった人は、必ずしも物心ともに満たされているとは限りません。
人は誰でも、仕事や人間関係でうまくいったり、充実感を感じたりするときに自己肯定感が高まり、逆に失敗したら自己肯定感が下がります。
常に自己肯定感が高い人なんて本当はいません。誰もが自己肯定感が上がったり下がったりしながら生きている、それが事実です。
つまり自己肯定感が低いから人生がうまくいかないのではなく、本当は満たされていないのにハリボテの自信でごまかしていたり、本当はできるのに自信が持てず踏み出せなかったり、事実と自分の解釈に距離があるから人生に問題が生じます。
事実と解釈に距離があるのは、等身大の自分と向き合ったことがない、あるいは受け入れられていない可能性が高いです。
等身大の自分に直面し事実を明らかにしたら、ダメな自分に落ち込むかもしれません。でもそれは自然なことで、落ち込むことが間違いなわけでもありません。
成熟した大人は、自分のいいところもダメなところも把握した上で「選択」できます。ダメな自分も受け入れた上で「こう在りたい」を選べる力が、本当の「強さ」なのです。
強さを手に入れるには、メンタルを鍛えなければと思いがちです。しかし目に見えないメンタルを自分で鍛えるのは、とても難しいのが現実でしょう。
だから私は、「こんな私が好き」と思える態度や行為を選ぶことをおすすめしています。
人は空を見上げながら悩むことができないように、行為や行動、態度は心に強く影響します。「こんな自分が好き」という行為の選択は、目に見えない情緒的成熟を確実に後押ししてくれるのです。