あらゆるスキマ時間で集中学習! 無駄ゼロ独学術

資格試験に受かる人は「質と量」どちらの勉強法をとるか

Getty Images

キャリアアップ、資格試験、公務員試験、TOEIC、リスキリングなどにおいて、予備校や専門学校に頼らず一人で勉強するのはうまくいかないものです。いわゆる「独学」が難しいといわれる理由は――人間の意志がそもそも弱いからです。ただし、人間の意志は弱いという事実を受け入れることで、独学の成功率を高めることができます。この本には、忙しい社会人でも実践できる、独学を成功させるためのノウハウが満載です!
この連載をまとめ、加筆・改稿したビジネス書『意志の力に頼らないすごい独学術』(石動龍)が、アルファポリスより好評発売中です。

質と量、どっちを取るべきか

失敗は成功のもと、という言葉は誰でも知っています。発明家のエジソンは「失敗は積極的にすべき」という趣旨の言葉を残しています。独学でもこれは当てはまります。
小さい失敗を繰り返し、そのたびに誤りを修正することによって、勉強や解答の方法が洗練されていきます。時間が経過するほど、効率化が進み、質が高まります。

資格試験の勉強をするとき、理想は最初から質と量を両立させることです。広い範囲を深く理解することがもっとも望ましいです。
しかし、これは現実的には無理です。
なぜなら、勉強を始めてからしばらくの間は、理解を重視すると時間がかかって量をこなせず、量を重視するとわからない部分を調べる時間が取れないからです。
そのため、質か量かのどちらかをあきらめることになります。その際に、選ぶべきは、絶対に「量」です。

質を優先するとどうなるか

初学者の場合、テキストに書いてある用語がそもそも理解できません。最初に読んだときは、日本語であっても意味がよくわからず、戸惑います。
その際に、用語を一つ一つ調べながら読んでいくと、読み終えるのに相当な時間がかかるはずです。
難易度が高い試験ほど範囲は広くなり、用語も難解になります。
司法書士試験や公認会計士試験は、テキスト、問題集、参考書籍をあわせると、20冊以上を使うことになります。
積み重ねると1メートル近くになったように記憶しています。
それらの本を読む際に、1冊1冊、時間をかけて丁寧に読んだらどうなるでしょう。
あっという間に月日が経ち、試験本番の日を迎えてしまうことになります。
また、じっくり読んでいると、試験範囲を一周するには相当な時間がかかります。
そのため、同じテキストを再び開くころには、一度目に理解したことはすっかり忘れてしまっているでしょう。

つまり、最初から質を優先してもあまり意味がないのです。
これは、落ち続ける人が陥りがちな、よくあるパターンです。
しっかり理解してから先に進もう、と丁寧にテキストや問題集に取り組むうち、時間をかけすぎて逆に効率を落としてしまいます。

まずは試験範囲を「一周」する

従って、最初に取れる選択肢は一つだけです。
質より量を優先し、まず試験範囲を一周することを第一の目標にすべきです。
さらに言えば、読んでもよくわからないところはそのままにし、さっさと読み飛ばしてしまうことが効率的でしょう。

量を重視するといっても、質を軽視するわけではありません。
もちろん、わからない部分が多ければ合格は難しいので、試験本番までに穴を埋めるように、自信のないところを一つ一つつぶしていく必要があります。
何度も同じ論点を勉強していると、当然ですが理解が深まります。同じようにテキストに目を通しても、用語の意味や、関連する論点が自然に思い浮かぶようになり、書いてあることが自然に頭に入るようになっていきます。
つまり、量を優先するのは、質を高めることを軽視するのではなく、後回しにするということです。
肉体労働やスポーツの練習で、時に「体で覚えろ」と指導されることがあります。自然に理解が深まっていくのは、それに近い感覚です。
同じところを10回も20回も読んでいると、次第に「いい加減もう飽きた」という気分になってきます。そうすると、一度目はさっぱりわからなかった内容でも、するすると頭に入るようになるはずです。

私が公認会計士試験の勉強を始めてから合格するまで、約1年の時間がありました。
2013年7月上旬に司法書士試験があったので、同じ年の8月から勉強を始め、論文式試験を終えたのは翌2014年の8月中旬です。
最初は知らない単語が多く、テキストを読んでも何度も引っかかりました。
わからないところを読み飛ばしても、一周するのに20日ほどかかっていたように思います。
2回目は一周目より読みやすくなりました。
次第にわからないところ、引っかかるところが減っていき、何回も繰り返すうちに読むスピードが上がります。
最後は10日ほどで試験範囲を一周できるようになりました。
正確に数えてはいませんが、勉強開始から試験終了までに、20回以上同じテキストを読み、同じ問題を解いたと思います。
さすがに、短い間にそれだけ同じことを繰り返すと、ほとんどの論点はわかるようになります。
最初の二、三周は概念をつかむことに集中し、回数をこなすごとに、各論点の細部を詰めていくイメージです。

資格試験の勉強をするにあたって、前提知識がなければどうしても理解に時間がかかります。
立ち止まらず、まず量をこなすことが効率化につながります。
最初はどうしてもつらいのですが、ノルマを毎日こなしているうちにわからない部分が少なくなり、どんどん楽になります。
歯を食いしばって、まずは試験範囲を一周してみましょう。

ご感想はこちら

プロフィール

石動龍
石動龍

青森県八戸市在住。公認会計士、税理士、司法書士、行政書士。読売新聞社記者などを経て、働きながら独学で司法書士試験、公認会計士試験に合格。石動総合会計法務事務所代表。ドラゴンラーメン(八戸市)元店長、ワイン専門店vin+共同オーナー、十和田子ども食堂ボランティアとしても活動している。趣味はブラジリアン柔術(黒帯)と煮干しラーメンの研究。

著書

意志の力に頼らないすごい独学術

意志の力に頼らないすごい独学術

石動龍 /
キャリアアップ、資格試験、公務員試験、TOEIC、リスキリングなどにおいて、予備...
出版をご希望の方へ

公式連載