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資格試験に受かる人は「質と量」どちらの勉強法をとるか

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試験本番の対策について

このように、順調に勉強を進められるようになったら、並行して試験本番の対策も行うことが必要です。
当然ですが、資格試験の合否は、本番の出来にかかっています。
どれだけ実力があったとしても、試験本番で失敗してしまえば、努力は水の泡です。

少し立ち止まって、「実力」とは何か考えてみましょう。
格闘技には、「道場番長」という言葉があります。
練習では誰にも負けないのに、試合だと実力を発揮できず、さっぱり勝てない選手のことをいいます。
本番になると緊張してしまう、環境が変わってパニックになってしまう、興奮してすぐにスタミナが切れてしまう、など原因は様々です。
このような選手は強いでしょうか、弱いでしょうか。
厳しい考え方になるかもしれませんが、強いとは言えないと思います。
一般的に、スポーツの目的は勝つことで、試合の成績で評価されます。いくら練習で強くても、その事実は第三者に伝わらないので、「弱い」というレッテルを貼られてしまうでしょう。
一方で、サボり癖があって練習でやられてばかりでも、試合で連勝を続ければ、誰からも強い選手として認識されます。

資格試験も、最終的な目標は合格することです。
確かに、勉強を続けていればその分野について専門的な知識を蓄積できます。ですが、最終的に合格しなければ、その分野のエキスパートであるという客観的評価は得られません。
一方で、国家資格は、ライセンスを保持していると、専門家であると国のお墨付きを得られます。
試験に受からなければ、いくらその内容を勉強したとしても、ただの詳しい人に過ぎません。合格するという事実に大きな意味があります。

模試の活用の仕方

それでは、本番に強くなるにはどうしたらよいでしょう。
個人差もあるので、こうすれば絶対に大丈夫、という絶対的な正解はありません。
逆に、「失敗するパターンをあらかじめつぶしておく」と考えるべきです。
ですから、なるべく本番と近い環境で、模試を受けることが望ましいのです。

本番と同じ環境で何度も模試を受けると、自分に特有の失敗が見えてきます。
たとえば、私がよくやっていたのは問題の読み間違いです。
「正しいものを選べ」という問題で誤ったものを選んでしまったり、「小数点2桁までで解答せよ」という指示を読み飛ばして、小数点以下を四捨五入して解答したりすることがありました。
答えがわかっているのに間違えるのはとてももったいなく、合否を分ける可能性もあります。
これらは本番では絶対にしたくないミスです。

整理すると、模試の目的は大きく分けて三つです。
一つ目は、緊張しないように試験の雰囲気に慣れること、二つ目は客観的な現在の実力を測定すること、最後の一つが、自分が起こしてしまいがちなミスを把握し、本番で行わない方法を確立する、です。

そして、失敗には、ダメージを負うものと、そうでないものがあります。
たとえば、新規ビジネスを立ち上げて失敗したら、お金が減ってしまいます。
出資を受けていた場合は、出資者からの信用を失うこともあります。
スポーツの試合に負けたら、その後のチャンスが減ったり、プロであれば収入が減ったりすることがありえます。
それに対して、資格の模試は失敗することのダメージはまったくありません。むしろ、本番でするかもしれない失敗を先にでき、修正の機会が得られます。
また、なるべく本試験に近い環境を再現することで、緊張が軽減されますし、忘れ物や交通障害など、予想外のトラブルに対処する練習もできます。
いいことばかりで、デメリットは多少の金銭的な負担があることくらいです。
模試の受験料は高くても数千円に収まることが多いので、合格したあとのことを考えれば安い投資です。
チャンスがあれば可能な限り受けるべきです。
あえて失敗を繰り返すことにより、成長の機会を得るチャンスだと割りきりましょう。

絶対にやってはいけないのは、模試でズルをすることです。
一般的に、模試は予備校などだけでなく、自宅でも受けられます。解答を事前に受け取れる場合もあるので、やろうと思えば、答えを先に見ることもできます。
また、自宅で受けるなら、制限時間を超えて問題を解くこともできます。
好成績を取って自慢するために、このような不正をする人がいます。
しかし、これでは正当な実力を測ることはできませんし、緊張を和らげる方法も見つかりません。

そもそも自宅で受けるのが間違いです。
本番の練習をできることが模試のメリットであるにもかかわらず、それを放棄することになります。
よっぽどの理由がない限りは、本番と同じ環境に近づけ、会場で受けましょう。

「失敗は成功のもと」の精神

結果が出ないと傷つき、落ちこんでしまう人もいるかもしれません。
ですが、資格試験に限らず、最初からうまくいくことなどほとんどありません。
私の経験でも、試験はもちろん、格闘技も、商売も、最初は失敗続きで、馬鹿にされたりして悲しい思いをしました。
それでも、適切な努力を続けていれば、昨日より今日、今日より明日の状況はよくなります。
それは階段を上るプロセスに似ています。
歩き続ければ、いつかゴールにたどり着きます。
何かに挑戦するときは、あきらめることが最大のリスクです。その瞬間に失敗が確定し、リターンを得られなくなるからです。
失敗は成功のもと、の精神を忘れず、一歩ずつ合格への道を歩んでいきましょう。

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プロフィール

石動龍
石動龍

青森県八戸市在住。公認会計士、税理士、司法書士、行政書士。読売新聞社記者などを経て、働きながら独学で司法書士試験、公認会計士試験に合格。石動総合会計法務事務所代表。ドラゴンラーメン(八戸市)元店長、ワイン専門店vin+共同オーナー、十和田子ども食堂ボランティアとしても活動している。趣味はブラジリアン柔術(黒帯)と煮干しラーメンの研究。

著書

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石動龍 /
キャリアアップ、資格試験、公務員試験、TOEIC、リスキリングなどにおいて、予備...
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