「今の若手は、とにかく打たれ弱い」とぼやく上司があとをたちません。
今の若手は本当に打たれ弱いのです。
あるコンビニ店の事例ですが、アルバイトの若手がレジ操作でおつりを間違え、お客様からお叱りを受けたそうです。店長も一緒に叱られ、お客様に丁寧にお詫びをしたそうです。
その後に店長から「レジ操作は慌てず、声に出して確認しながら打つようにしてください」と言われ、若手は「分かりました。すみません」と謝ったそうです。
しかし、翌日からその若手はお店に来なくなりました。理由は「自分には無理」ということでした。
店長としては、レジの打ち間違いは誰にでもあると思っていますが、若手にはその失敗で叱られたことが大きな苦痛になったのです。
同じ苦痛は二度と味わいたくないということです。では、なぜここまで打たれ弱くなったのでしょう。それは、打たれ慣れていないからだと言えます。
これは、家庭教育の仕方が昔とは大きく変わったことが要因です。特に家庭のヒエラルキー(上下関係)の変化が大きな要素となっています。
管理職研修で、50代~60代の方に「皆さん、家庭での序列は今何番目くらいですか?」と質問すると、「一番!」と自信をもって答える方はほとんどいません。ときには「俺なんか、ペットのピーちゃんよりも下だよ」とぼやく方もいます。
鉄拳制裁やちゃぶ台返しなど、家庭教育が父親主導だったのは昔の話です。今は子どもたちの教育を優先した、母親主導の家庭教育が主流なのです。
家庭では大事に育てられ、殴られたり、蹴られたりすることはまずありません。その結果、今の30代~40代の父親の、子どもに対する教育姿勢も変わりました。今その年代の親をもつ子どもたちは小学生~高校生です。
実は私は地元の柏市で、「オヤジ★イノベーション」という親父を元気にする会の活動を行っているのですが、30代~40代の方々とよく話をします。
父親もPTA活動を積極的に行い、子どもを第一に考えた生活をされています。学校の成績が悪くても、どこかいい点があるに違いないと、全面的に否定することは絶対にしません。もちろん、注意すべきときはしっかり叱っていますが、理不尽な叱り方はまずしません。