誰しも望む未来があります。しかし、その未来を実現できる人は、ひとにぎりだと考えていませんか? そんなことはありません。未来の自分を変えるヒントは、あなた自身の中にあるのです。過去に「目をつけ」「掘り下げて」「引き出す」。このプロセスの繰り返しが、あなたの未来を大きく変えるのです。ここでは、自分自身を「振り返る」ことで見えてくる、あなたが望む未来の導き出し方を紹介していきます。そう、あなたの過去は宝の山なのです。
人生の岐路に立ち、自分がわからなくなったときにも「振り返り」は効果を発揮します。
「自分とは何者か?」という問題は、青春の一時期に熱中するものですが、その後、気にしなくなってしまうものです。これは、社会生活をする中で居場所を見つけ、自分の振るまい方を見つけるからです。
しかし、人生の岐路に立ち、あらためて本当は何をしたいのか、どうありたいのかと考え始めると、またわからなくなります。
過去に疑問が解消されたかと思っていたのに、皆目見当がつかなくなる。それは、「自分」とは常に「曖昧模糊とした存在」だからです。
そもそも人生の岐路に立っていなくとも、自分が将来何をしたいのかわからないという方が大半です。将来のことは、とても曖昧で、感覚的なことしかわからない。でも、なんとなく方向性は感じている。それが普通です。
曖昧模糊(あいまいもこ)とした自分は、とらえにくいものです。ぼんやりしていたらいつまでたってもわかりません。他人に聞いても、とんちんかんな答えが返ってきたり、あらぬ方向に導かれてしまうだけです。
そこで「振り返り」を行い、過去の感情・思考・行動・体験・実績を素材にして、具体的な夢にまとめあげます。そうすれば、それが方針や進路、人生設計、行動計画になります。
「自分」は曖昧模糊としていても、具体的に描かれた夢ならば取り扱うことができます。そうして初めて将来の方向性を決めることができるのです。
私たちは、「曖昧な自分」だからこそ、先の見えない未来に向かって日々悪戦苦闘しています。このままではいけない。なんとかしたい、と思って頑張っているのです。
そして目に入るのは、他人の成功。
「他人の成功の方程式を学べば、自分もうまくいくのではないか?」
「どこかに成功の秘訣があるんじゃないだろうか?」
そんな風に考え、外に答えを探し始めます。
しかし、他人の事例や成功の秘訣を吸収するだけでは、十分ではありません。
「彼(かれ)を知り己を知れば百戦殆(あや)うからず」
という孫子(そんし)の言葉のとおり、もっとも身近な「自分」を知ることを抜きにして、いかなる成功もあり得ないのです。
他人の成功は、あくまでも他人の成功です。あなたにとっても同じように成功であるかどうかはわからないのです。
どんな方法であっても構いません。自分に向いた方法。自分がやりやすい方法。自分がついついやりたくなること。わくわくすること、やりたくて、やりたくてしかたのないことを探求していきましょう。
これは、古代ギリシアのデルフォイの神殿に書かれていたとされる言葉に通じます。
「汝自身を知れ」
自分自身を知るには、自らを振り返り、過去を振り返ることが必要です。
その果てに、あなたにとって最高の、あなたが味わう以外に意味のない、それでいて、世界の誰もが手放しに悦ぶような成功を見出すことができたら最高です。