誰しも望む未来があります。しかし、その未来を実現できる人は、ひとにぎりだと考えていませんか? そんなことはありません。未来の自分を変えるヒントは、あなた自身の中にあるのです。過去に「目をつけ」「掘り下げて」「引き出す」。このプロセスの繰り返しが、あなたの未来を大きく変えるのです。ここでは、自分自身を「振り返る」ことで見えてくる、あなたが望む未来の導き出し方を紹介していきます。そう、あなたの過去は宝の山なのです。
振り返りのプロセスの後半は「引き出す」です。掘り下げたことによって新しい知恵や価値を引き出すのです。
「引き出す」ことによって生み出されるものは、さまざまな形態を取り得ます。新商品、新サービス、新オペレーション(業務手順)など。
仕事でなくても構いません。得られた知恵や価値によっては、芸術的な表現がふさわしいこともあるのです。
たとえば強烈な感情を引き出したとしましょう。怒り、悲しみ、悦び、笑いなど……。それを業務手順に表現しろというのは無理な話です。
その感情をメロディとリズムで表現して、歌をつくるということもできます。その激しい感情を表現するお芝居や小説を書くこともできるでしょう。詩にしてもいいでしょう。
商業と切り離したとき、芸術は私たちの表現手段であることを再確認させてくれます。「振り返り」によって引き出されたさまざまな感情や思考は、適切に表現することで昇華されます。表現の出口を求めてさまよわせてしまってはもったいないのです。
下手とか上手などという評価を気にせず、あなたの手段として芸術をとらえ、思いっきり表現してみてはいかがでしょうか。
私たちは、日々の暮らしの中で節目が来るたびに、自らを振り返るようにすると、振り返りをし損なうことがなくなります。
時間の流れは途切れなく、つかみどころがありません。そこで人類は、暦(こよみ)をつくり、生活環境に合わせた行事をつくり、節目をつけることで取り扱いやすいように工夫してきたのです。
振り返りの重要性を理解したなら、あえて年中行事や仕事の節目を振り返りのために活用していきましょう。
学校時代であれば、さまざまな行事のみならず、定期考査があり、その都度、学習内容の理解度や回答能力などが採点され、成績としてフィードバックをされてきました。
企業で働いている方も、年度ごとの人事評価や査定もあれば、四半期、半期の面接などもあるでしょう。人事考課や賃金制度によって、その働きを評価されてきました。
当然教師が生徒を評価したり、企業が従業員を評価するという側面はあります。しかし、本当はそれだけではありません。振り返りの観点からすれば、生徒や働く人が自らを振り返るタイミングでもあるのです。
多くの方は振り返りの大事さを知らないために、単なる評価としか理解せず、「人生をよりよくするための振り返りのチャンス」とはしていないのです。それはとてももったいないことなのです。
評価や査定は、他人からの評価です。他人がどう思うのかをコントロールすることはできません。自分のことは自分で振り返りましょう。
過去の成績がいいとか悪いとか、感じるところはあるにせよ、何ができて何ができなかったのかを理解し、できているところを未来に活かし、できていないところを未来で補おうと思えばよいのです。
昔から人生は旅にたとえられてきました。人生の旅は、誕生から始まって死で終わります。その始まりの日の記憶はなく、終わりの瞬間に意識があるのかは不明です。私たちはいつしか生まれ、いつしか去ってゆく。この世にいる時間は、旅先の一宿一飯に過ぎないのかもしれません。
もしも人生が「今」の連続であるならば、いつでも方向転換ができるはずです。それなのに私たちは、過去がこうだったからという思い込みに縛られて、「今」という時間において身動きできなくなったり、未来への不安から、何も行動できなくなったりします。
だからこそ、過去を振り返る必要があるのです。しっかりと過去を振り返り、認識したら、過去はあなたを縛っていたその力を緩めるでしょう。振り返るからこそ、現在のあなたにとって必要な知恵が浮かびあがってくるのです。むしろ、遊び心を持って探求すれば、過去はあなたの力強い味方になってくれます。
「振り返り」は、あなたの視野を広げ、可能性を広げます。そしてますます自由になり、あなたはあなたらしい人生を生きていくことができます。
あなたは、ほかの誰でもない、あなたなのです。あなたらしい自由を生きていって下さい。それが人類に対する最大の貢献です。