誰しも望む未来があります。しかし、その未来を実現できる人は、ひとにぎりだと考えていませんか? そんなことはありません。未来の自分を変えるヒントは、あなた自身の中にあるのです。過去に「目をつけ」「掘り下げて」「引き出す」。このプロセスの繰り返しが、あなたの未来を大きく変えるのです。ここでは、自分自身を「振り返る」ことで見えてくる、あなたが望む未来の導き出し方を紹介していきます。そう、あなたの過去は宝の山なのです。
社会に出て、仕事をしていると、さまざまな障害にぶつかります。思うようにならないことの連続です。そんな自分の仕事に納得していないのに、真面目に働いている人がたくさんいます。
「仕事なんだから仕方ないじゃないか」
「仕事は辛いのが当たり前。給料は我慢と引き替えにもらうものでしょ」
「サラリーマンなんだから、言われたことを言われたとおりにやらないとね」
心の底からそう感じて納得しているのであれば、何も言うことはありません。
しかし、自分の心の声は何と言っているのでしょうか。
「それは完全に自社都合で、お客さまのためにならない気がするなぁ」
「そんなに人格攻撃をしなくたっていいじゃないか」
「もっと自由にやらせてくれたらいいのに」
しかし真面目な人は、そんなのは〝わがまま〟だとして、心の声に耳を貸しません。もしも周囲の声にばかり耳を傾け、世間の要求に応えているだけならば、すぐに立ち止まってみましょう。
意識を外に向けるあまり、いつも自分の気持ちを後回しにしてはいませんか?
「自分がどう感じるかなんて、どうでもいいんですよ。お客さまがどう思うかが大事なんですから」
まっとうな社会人の言葉に聞こえます。ときには自分の自由を犠牲にせざるを得ないこともあるでしょう。しかし、いつも自分をないがしろにしていいのでしょうか。
「説明するのが面倒くさいからさ。全部合わせちゃうんだよね」
そうして、何でも人から言われるままに行動していくと、信頼が得られ、当然評価も高まりはします。
しかし、他人の意思は尊重するのに、自分の意思は尊重していない。そうなれば、心が満たされないのは当然です。
意識を外に向けすぎているのならば、少し心を落ち着けて、自分を振り返って、心の声を聴いてみる必要があります。
どうしてそんなに自分の気持ちを無視するようになってしまったのでしょうか。
不安だからでしょうか。先行きに対する不安。自分が生き延びられるかどうかという不安。将来についての不安があるからでしょうか。
将来とは未来です。未来とはまさに未だ来たらざるものであり、なんら確定していない世界です。何も決まっていないからこそ不安になります。私はこれまでの著作で「未来に不安を持つのは仕方ない。だからこそ、行動を起こして、少しでも出来事を確定していきましょう」と述べてきました。
暗中模索とか五里霧中という言葉がありますが、先行きの見えない世界でとにかく行動したところで、どこにたどり着くかは誰にもわかりません。それなのに、
「頑張れ!」
「すぐやれ!」
「死ぬ気でやれ!」
などと言うのはとても酷(こく)な話です。
行動すればするほど空回りしてしまいます。
頑張れば頑張るほど手応えがなく、行動すればするほど疲労する。これでは、やがて徒労感に覆われてしまいます。すべてがむなしく感じられ、ひと頃言われた「燃え尽き症候群」のような心境に陥るでしょう。
場合によっては、すべてに実感が持てず、虚無感に襲われることだってあります。
不安を抑えたいために自分の気持ちを無視していたら、現状認識のアンテナの感度が鈍ります。それはビジネスにおいて致命的なことです。お客さまの反応、ニーズ、不満足に敏感に反応し適切に対応しなければならないのです。
顧客満足度の向上を掲げる企業は多数ありますが、顧客満足を高める第一歩は、自分の気持ちを大切にすることです。自分自身もお客さまと同様に大事にしなければ、共感したり相手の気持ちを察することなどできません。
そのためにも、自分自身の「振り返り」は大切なのです。