行動がすべてを変える。
これは真実ですが、なんでも「すぐやる」のがいいのでしょうか。
たとえば、今やらなくてもいいことや、禁じられていること、ましてや犯罪や暴力などは、すぐやると大変なことになります。深呼吸して心を落ち着かせて、踏みとどまる必要があります。
重要性を考慮せずに、何が何でもすぐやればいいというものではありません。
「すぐやる」べきは、あなたにとっても他人にとっても重要で、それをすると自分も悦び、他人にも悦ばれることです。これを「魂が悦ぶ®仕事」と呼んでいます。
ところが、肝心要の自分の気持ちがわからない人が多いのです。
子どもの頃は、自分の気持ちに正直に、泣きわめいたり、わがままを言ったりしたものです。しかし、社会生活をするうちに、自分の気持ちよりも組織や他人の意向を優先するようになります。そのうち、自分の気持ちがわからなくなってしまうのです。
その結果、仕事として与えられれば、たとえ不本意な目的や目標であったとしても、その実現に向けて邁進(まいしん)することもできるようになってしまいます。
では、そんな目的や目標が達成されたら、幸せを感じるのでしょうか。心からの満足を感じるのでしょうか?
実は、目的や目標が不本意なものだと、大成功してもまったく幸せを感じられなかったり、不幸になってしまったりするということがあります。
たとえば、会社の仕事に全力で邁進し、全社トップの営業成績を達成したときには、私生活がボロボロになっており、不幸のどん底に落ちてしまったという話をよく聞きます。
どんな仕事をして、どんな暮らしをしたいのかを明確にしていないと、バランスの崩れた目標を立ててしまい、自分を苦しめることになってしまいます。
私たちは、願望の持ち方、夢の描き方をよく知らないのです。ついつい、
「これだけ叶えばいい」
「給料が低くてもやりがいのある仕事ができれば、それでいい」
などと、最小限の願いを強く祈ってしまうのです。
そうすると、最小限の願いが叶っても、それ以外のことが最悪な現実となってしまうことがあるのです。
「すぐやる」ということも同じで、どうありたいのか、どんな最高の状態を生み出したいのかという、全体俯瞰(ふかん)のイメージを持たずに行動すると、ただ「すぐやる」だけで、何も生み出さないのです。
ではどうすれば、最高の状態を思い描き、全体俯瞰のイメージを持つことができるのか。
その答えが、本書で述べていく「振り返り」なのです。
さて、現在のビジネスパーソンが抱える課題をいくつか見てきました。内容は多岐にわたっています。個人的な心の中のこともあれば、仕事の内容や取り組み方、対人関係や職業のあり方など。
これらの多岐にわたる悩みや課題に対する解答を見つける方法が、まさに「振り返り」なのです。
本書では、夢を実現するための「振り返り」を取りあげ、説明していきます。
・夢を実現するための「振り返り」とは何なのか
・何をすることなのか
・どんな重要性があり、どう応用することができるのか
などについて具体的に説明していきます。
「振り返り」といっても、あまりに普通の言葉すぎてイメージが湧かないかもしれません。
本書ではあえて簡素に「振り返り」と呼び、わざわざカタカナで「リフレクション」などとは呼んでおりません。特殊な専門用語で呼ばないのは、仕事でもプライベートでも日常的にフル活用していただきたいからです。
実際に、私が行っている夢実現応援の対話(コーチング・セッション)においては、「振り返り」は欠かせないものです。
しかもとても簡単です。ちょっと意識すればできることでありながら、とても効果的なものです。
すでにやっている人は、さらに自覚をもって行っていただくだけで、人生が激変します。シンプルにして劇的な効果が得られるのが「振り返り」なのです。
夢や希望のない人も「振り返り」をすることによって、生きる指針を取り戻し、夢を描けるようになります。
夢のある人は、「振り返り」によって、夢を実現するための方法や道筋を見つけることができるのです。
実は、振り返りとは、ちょっとした振り返りから、奥の深い振り返りまで、さまざまあるのです。大小さまざまな振り返りを日常の中に落とし込んでいけば、造作(ぞうさ)もないことです。
やる気を失ってしまった人は、「振り返り」によってやる気を取り戻すことができます。
ひたすら前向きに行動することや、単に学ぶだけでは不十分なのです。行動し、常に「振り返る」からこそ、知恵を引き出し、価値を創造することができるのです。
まだ行動していない未来のことですら、振り返ることで、知恵を引き出すこともできるのです。
そして一番大事なことは、振り返って終わりではないということです。振り返り、知恵を引き出し、それを生かすこと。
振り返り、知を吸収して、それを今日からの行動に生かすということが最も大事なのです。
それによって変化を起こすことができ、私たちは個人的にも社会的にも進化していくことができるのです。