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その雑貨屋には奇妙な噂がつきまとっていた。
店主のロベリアが鑑定すると偽物も本物に変わってしまうという噂が。
「そんなの誰かが流した嘘だろう」と世間は四方山話としか思っていなかった。
だが、その奇跡を目の当たりにした王国騎士団長グレイは彼女を不信に思い問い詰める。
「何が目的だ、雑貨屋」
「あら? そんな怒ると端正な顔が台無しですよ」
その後、ちょっとした事件でロベリアと行動を共にしたグレイは彼女の「特別な力」を目の当たりにする。
彼女が「グレイさんの手にしているのは名工が仕立てた刀剣」と口にすればグレイの古びた剣がみるみるうちに一流刀鍛冶師が仕上げた名刀に早変わり。
悪徳商人が手にした銃を「おもちゃ」と口にすれば弾の代わりに旗が飛び出る玩具変貌を遂げてしまう。
「雑貨屋、お前、何者だ」
「これは言霊です、その気になればどんなゴミでも秘宝に変えられます。たまに困った人をこの力で救って来ましたね」
「――っ!? もしかして、お前は……東方で召喚された聖女、なのか?」
「ご想像にお任せします。あぁグレイさんは良い人そうなので、ちょっとお手伝いして貰えませんか?」
「手伝いだ?」
彼女曰く、自分は異世界転移者で元の世界に帰りたい。そのためには異世界に帰るための言霊……それに耐えうる秘宝を探しているらしい。
「わかった、代わりに君の言霊で騎士団が請け負う仕事を手伝ってくれ」
「事件解決に言霊を? まぁいいでしょう、ギブアンドテイクでいきましょうか」
堅物騎士団長と言霊使いの偏屈聖女のバディが次々と難事件を解決していく
文字数 31,877
最終更新日 2025.01.05
登録日 2024.12.05
厳島海斗(いつくしまかいと)は売れない作家で金欠気味の二十五歳。
金は無い、デビュー以来本は出せない、編集からの連絡は半年ないの無いない尽くし。
そんなお先真っ暗な彼だが……実は昔、伝説のダンジョン配信者「日高円佳(ひだかまどか)」相棒だった過去を持つ。
ダンジョンに潜る「冒険者」としての才能は世界で五本の指に入ると言われる海斗だが、作家として売れたい彼はダンジョンとは無縁の生活を送っていた。
そんな彼だったが円佳にアイテムを取ってくるよう頼まれ(脅され)渋々ダンジョンに潜ることに。その時人気配信者「ハルル」を助ける。
作家として大成するまで目立ちたくない、筆一本で有名になりたい彼は名前も告げずその場から去った。
「さて、企画書を作成しないと、でも編集さんは見てもくれないんだよなぁ」
だがその日以来、なぜか編集長の北大路氏から頻繁に連絡が来るようになる。
<ラブコメ作家の厳島先生にこんな本を書いて欲しいのですが>
今まで放置されていたのに今度はプロットも自作してくる気の乗りよう。
それは「ダンジョンで女主人公が王子さまに助けられる」という内容だった。
「最近似たようなこと俺の周りにあったなぁ。ていうか北大路編集長って女性だったんだ」
急にノリ気でどうしたのかと訝しがるが作家として期待に応えようと意気込む海斗。
そんな折、姪の美波に誘われ取材もかねてダンジョンに赴くことに。そこで例の助けた人気配信者ハルルと再会する。
ファンである美波たっての要望で海斗は無理やり彼女とコラボをすることに。
「いや俺、執筆で忙しいんだけど」
だがコラボを承諾した途端、編集長から「忙しくなったので前回の企画は当分先送り」と無慈悲な通告が。
「急に!? 何が起きたの!?」
二転三転する編集長に振り回されながらもハルルとコラボし「日高円佳以来の逸材」として海斗は界隈で有名になっていく。
ハルルの仕事の愚痴を聞いて「個人事業主に優しくしてあげな」と諭すと次の日から編集長が暖かい言葉を掛けてくる。
そして、彼女と仲良くなればなるほど編集長のプロットは具体的になっていき、もはや「自分で書け」レベル。
「マジ何なの!? 絶対性格悪いぜ編集長……ハルルさんとは大違いだ」
そこに円佳も絡んできて事態はさらに大事に――お互いに素性を知らない二人の織り成すすれ違いダンジョンコメディ。
文字数 57,502
最終更新日 2024.12.31
登録日 2024.12.03
「――というわけで、ニコライ=ヴァンレッド学園長の更迭が決まりました」
平民も貴族も平等に学べる学び舎を目指し魔法学園を運営していたニコライは貴族派の教頭バルザックの策略で学園長の座を追放されてしまう。
「やれやれ、学園長の仕事は君が思う以上に大変だぞ……お手並み拝見といこうかバルザック君」
そんな追放されたニコライの元に魔女オードリーから若返りの薬を開発したと連絡が入る。
「旦那ぁ、この薬を飲んで自分が創立した学校に入学するのもオツなもんですぜ」
「ふむ、生徒の目線で学校を見るのも一つの勉強かもな」
学生として内側からバルザックを牽制しようとしたニコライは試しにその薬を飲んで昏睡してしまう。
目覚めた時には全盛期である十代の体を取り戻していたニコライ。
だがしかし、その代償はあまりに大きく、なんと三年の月日が流れていた。
「すいません、ニコライさんの魔法抵抗力が高すぎて効くまで時間がかかりました」
「何してくれてんのぉオードリーくんっ!?」
「でも全盛期の力は取り戻せたじゃないですかぁ……それに、やっぱりイケメンだったんですねぇ」
「あぁ、ありがとう――じゃない! 取り戻せたとてなのだよ!」
三年の月日が流れ、魔法学園はすっかり貴族偏重になってしまい、バルザックのせいで学園評判はがた落ち。貴族の卒業生は無能で使えないとタブロイド誌で叩かれている始末。
「なんとかせねば……あいつ経営音痴かバルザック君!」
失った信頼を取り戻すべく、急ぎ平民として入学試験を受けるニコライ改め少年ニコは入学試験で活躍し「ニコライ元学園長の再来」と噂になる。
「本人なのだが……まぁ言っても信じてはもらえんか」
高慢な貴族上級生を「わからせ」たり、授業では「素人質問で恐縮ですが」と悪徳教師を知識で「わからせ」、さらにはニコライのファンガールである鬼教官に正体がバレかけたりと大わらわ。
これは悪徳貴族から学園を取り戻すべく、「賢者」と呼ばれし元学園長が一般生徒として生徒に教師に貴族連中に再教育していく物語――
文字数 42,983
最終更新日 2024.12.26
登録日 2024.12.02
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編集さんに企画を読んでもらうために俺がとっている姑息な手段です
文字数 3,150
最終更新日 2024.12.05
登録日 2024.12.05
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作家になったらこういうこともある。
大切なのはネタをネタと受け取るコミュ力だと痛感した話。
文字数 1,580
最終更新日 2024.12.02
登録日 2024.12.02
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