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ある日突然、両親を喪い叔父夫婦の元で虐げられながらも元気いっぱいに過ごしていた、ただの町娘のオリヴィアは、見るからに表社会の人間ではない人間から命を狙われるようになった。理由は簡単、亡くなった母の唯一遺したものであるカメオに、何か大きな秘密が隠されているからであるらしかった。
「オリヴィア。何があっても、命に変えても、このカメオを守り抜くのです」
亡き母の言いつけという荊棘が心をキツく縛って逃がしてくれない。逃げ惑うオリヴィアがとうとう敵に捕まりそうになった瞬間、漆黒の彼に出会った———。
月に向かって吠え続ける一匹狼のような彼、自らを追い詰めるように動き続ける彼が大嫌いだったはずなのに、いつのまにかその感情は“恋”へと変化していた。でも、その恋は隠し通さなければならない。
だって彼にとって“愛”は、———呪いなのだから………。
文字数 26,782
最終更新日 2025.01.26
登録日 2024.12.27
「リリーシア・ソフィア・リーラー。冷酷卑劣な守銭奴女め、今この瞬間を持って俺は、貴様との婚約を破棄する!!」
テオドール・ライリッヒ・クロイツ侯爵令息に高らかと告げられた言葉に、リリーシアは純白の髪を靡かせ高圧的に微笑みながら首を傾げる。
「誰と誰の婚約ですって?」
「俺と!お前のだよ!!」
怒り心頭のテオドールに向け、リリーシアは真実を告げる。
「わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの」
文字数 15,615
最終更新日 2024.12.22
登録日 2024.12.20
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