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「九つの門より出でて帳の裏から還れ」
その本はそうしたエピグラムから始まるらしい。嘘か真か、作家が血肉をなす本文を実際に書く前から、その本は既に出版されてそこにあったという。ややこしいことに、作家は確かに出版された後から本文を手ずから書き上げたし、その前から本の中は真っ白でもなかった。タイムトラベルとかその手のからくりでないことは確かであって、亞書の改訂といった連想も少し外れている。ここでは直ちにその詳細には立ち入らないが、とにかく、私はその本を探している。
文字数 12,842
最終更新日 2024.10.29
登録日 2024.10.29
文字数 9,269
最終更新日 2021.01.12
登録日 2021.01.12
三角コーナーになりたい私は、ある日自宅の三角コーナーから、全宇宙の三角コーナーを一所に集めることで出現するという三角コーナーのイデアに接続すれば、三角コーナーになれる、と告げられる。三角コーナーを買い占め、各家庭の三角コーナーを或いは買い取り、或いは貰い受け、或いは盗み出す日々。そんな中、私は三角コーナーが既に地球と言う一所に集まっていることに気付く。即ち地球こそ三角コーナーのイデアである、と。であれば自身は地球の生態系の中にあり、三角コーナーのイデアと一体であるのだから、自身が三角コーナーであると思えるはず。であるにも関わらずそうではない。その理由を考察していく中で、私は遂に一つの結論に達する――
文字数 3,669
最終更新日 2019.04.03
登録日 2018.05.03
第6回ハヤカワSFコンテスト一次選考通過。
木星探査機JUNO021は、木星の雲の中で、不思議な、「複雑錐」としか名付けようのない物体と遭遇する。ビッグクランチの前後が同期していく中、世界は滅びを逃れられるか。紐解かれていくラグランジアン「ランダウ」の記憶。同化していくJUNO021。彼が願ったのは、滅びだった。
有機物が基本的に登場しない、またビッグバンからビッグクランチを繰り返す系という、人類が現在の物理学で想定できる一番広い時間を扱った小説。
卒業する文芸部の先輩方へ捧げる部誌に寄せた一作。猩々メイン、時々鷦鷯飛蝗で執筆。
文字数 42,333
最終更新日 2019.01.20
登録日 2018.02.05
各五感の内、一つが氾濫した人と、最近よく最寄り駅の待合室で一緒になります。
奇行に見えた彼らの振る舞いも、可哀そうなだけに思え始め――
そして彼らは問うのです。
――あなた、以前、どこかで?
第三話は猩々飛蝗ではなく、モグラに書いてもらいました!
文字数 13,271
最終更新日 2018.07.21
登録日 2018.06.18
少女の登場とともに敬体が常体へと切り替わるのは、仕様なのです――
猩々飛蝗初、四人全員が取り組んだ作品!
そう、これは、タンポポが綴るほのぼのブログ――なわけあるかい。
猩々飛蝗他作品から大量のイースターエッグを盛り込んだ作品。
他作品全部見た上で、いくつ入ってるかチェックしてみるのも楽しみ方の一つかも。
文字数 2,758
最終更新日 2018.05.08
登録日 2018.05.08
秘境を探検していた我々調査隊は、遂に総数三千を五人まで減らし、周囲の植物に齎される陶酔と恍惚の内にあった。植物に捕食されるという至高の幸せに囚われた男達の、美しい最期の記録。
猩々が夢を基に一人で書いたお話。
文字数 4,014
最終更新日 2018.05.06
登録日 2018.05.06
猩々飛蝗初の単独執筆小説!
猩々が英語表現の授業中、暇すぎて書き溜めてしまった謎テキスト。
文字数 15,281
最終更新日 2018.01.13
登録日 2018.01.13
表紙絵:おきたん/https://plus.google.com/105429990625891866277
男子高校生が、各種条件の奇跡的合致によって小さな、極小さな一歩を踏み出す話。
我々猩々飛蝗がどういう話を書く連中か、そろそろお分かりと思います。ああいう話ばっか書いてるのは、決してああいう話しか書けないわけではなくて、ただああいう話以外を目指していないだけだ、その証拠にそれなりに普通の話も書けんだぞ、と言い張る為に書きました。うまくいってるかどうかのより広範な視点からの評価も求めて公開した次第です。ご感想の程よろしくお願いいたします。
文字数 4,118
最終更新日 2018.01.01
登録日 2018.01.01
主人公は何でもできる誰かしらとの確執で心を痛め、部屋に引きこもって一枚の絵を心のよりどころにして描き続けている。上塗りに上塗りを重ねた、他人が見れば抽象画としか見えない絵であるが、本人の脳内の象景があらわされている。
過去を思い出して精神的不安に襲われた拍子に主人公はその絵に穴をあけ、窓の外に放り投げてしまう。自分の正当化の権化が失われて現実逃避が剥がれ落ち、しかし冷静ではあれなかったことから主人公は窓の外に飛び出し、死んでしまう。死後、穴に飛び込んだ後描かれている世界は主人公の単なる想像ではないのかもしれない。
表紙絵はさくらもちぃーさん!:https://twitter.com/motchi_0128
文字数 10,350
最終更新日 2017.12.30
登録日 2017.12.30
安部公房を知る前に書いたんです、本当なんです、信じてください。以下あらすじ。
主人公、「私」は眼球内側表面が鏡面のように濁ってゆき、最終的に網膜が剥離するという原因不明の病に侵されていた。発症し始めは自身から視界が奪われることを恐れていたが、片目の視界が拡散された光の白さだけになった時に視界が奪われるのが怖いのではなく、現状の視界の余りの刺激が気に食わないだけなのではないかと思い始める。
片目の視界が完全に奪われ、もう片方の白み方が微塵も外界を認識させないほどになった頃には、変化のない平坦な刺激に耐えられず、目の前に常に立ちはだかる壁の内側に「僕」として想像の主人公を作り出して気を紛らわしていたが、やはり精神的な発作は収まることを知らずに、「私」の楽しみは視界を完全に失い壁が消滅する網膜剥離の瞬間のみになっていった。
しかし、待ちに望んだその瞬間、不要になった「僕」が消滅して盛大に幕が引かれたすぐその後、「私」は空いていた病室の窓から誤って落下して死んでしまう。
文字数 5,076
最終更新日 2017.12.29
登録日 2017.12.29
「彼」の存在を信じられない「私」の話
中三当時、猩々飛蝗がまだ猩々と鷦鷯飛蝗だけで構成されていた時代の作品。
文字数 9,956
最終更新日 2017.12.29
登録日 2017.12.29
グループ名の由来。下校中の言い間違いの行く末。
登場人物の存在しない小説を目指したが、結局語り手の視点がいるという…
文字数 3,322
最終更新日 2017.12.29
登録日 2017.12.29
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