𝚁𝙸𝚂𝙰

𝚁𝙸𝚂𝙰

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恋愛 連載中 長編
「ステラには婚約を、財政の関係でしてもらうことが出来ない。──すまないな」 「……え?」  頭を下げた伯爵である父を、私はぼうっと眺める。今、父は何て言った?  婚約できない? それって、このまま独身でいろってこと──? (たしかに、私の家には子供が六人もいる。でも、なんで私だけが我慢しなくちゃいけないの?)  これまで私──ステラは、魔法が一家の中で唯一使えないから、つらい思いをたくさんしてきた。なのに、今度は結婚もあきらめろ?  ふざけないでほしい。  結婚しない貴族令嬢なんて、この世界に一人もいない。これだけで、いかに貴族にとって結婚が重要なのか分かるだろう。  それを、お金がないから〜と軽く言われては困る。 (しょうがない、ね)  今までは育ててくれたことに感謝して、精一杯家族のために頑張ってきた。  ──でも。  どうやら、それは意味をなさなかったらしい。  ステラは決めた。長年夢だった──でも家族のために諦めていた、スイーツショップを開こう。  そして、たくさんお金が貯まったら。  どこかの家に嫁いで幸せに暮らそう、と。  まだこの時のステラは、知らない。  この選択は後に大成功しただけでなく、ある素敵な出会いをもたらす、ということを。
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文字数 18,951 最終更新日 2024.06.20 登録日 2024.05.30
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