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ファンタジー 完結 長編
中世。アズラク海(東地中海)地方の内陸部。 夏の最後の日。豪族・ワーリズム家に、当主座をめぐる戦役が始まった。 分家の領主である18歳の青年・ハンシスが、本家の当主であるラディンを追い落とすべく、戦闘を仕掛けてきたのだ。 二人は、2歳違いの従兄弟同士であった。かつてはラディンの姉・シャダーを交えた三人で共に、仲の良い兄弟同士としての幸せな日々を過ごした事もあった。 しかし今や、二人の存在には大きな差が生まれていた。 ――支配者として必要な力量を自らの力で獲得した青年ハンシス。 ――姉に甘やかされ続けたまま未熟と傲慢そのものの少年ラディン。 ラディンを溺愛する姉・シャダー以外の誰もがラディンを敬遠し、ハンシスを信頼していた。今回の内紛の結末にも、誰もがハンシスの勝利を、そして一族の新当主の座に就くことを待望していた。 しかし戦局が進む中――、短い秋が内陸の地に進む中――、 完璧なはずのハンシスの言動に少しずつ、奇妙な歪みが見られ始めた。 彼が、昔馴染みの従姉・シャダーに不思議な執着を示していくのだ。……その執着こそが、全ての事態の始まりになっていた。 ハンシスの感情がシャダーに、ラディンに、さらに彼らを支える友人達に影響を与えてゆく。互いが互いに干渉し合い、それぞれがそれぞれにナガの戦地を離れてしまう。 彼らは本来あるべき場所・たどるべき運命を確実にそれながら、西の果ての山地・ブハイルの湖へと至ってゆく。…… ・     ・     ・ 血縁・友情・忠義・憎悪・執念・愛情に絡められながら進んでゆく、複数の歪な感情のストーリー。
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文字数 107,276 最終更新日 2021.01.21 登録日 2020.12.03
中世後期、アブヤド海(東地中海)の貿易港・ミーナールを舞台にした、架空歴史ストーリー。 ・  ・  ・ 豊かな貿易港により繁栄する都市国家・ミーナール。 ミーナールは宗主国として大国ルツを仰いではいるものの、事実上は街の評議会が主導する独立を誇っていた。 そしてこの評議会の代表――すなわちミーナールの代表役となるのが、最大の名門ワリド家の若き当主・アーリドであった。代々のワリド家当主そして評議会の力を持って、ミーナールは長らくにわたり自由と繁栄を享受し続けていた。 ミーナールに夏が始まったその日。街へ新たな喜びがやって来た。 宗主国ルツからの新太守として、かつてこの街で育った青年・エウジスが赴任して来たのだ。 ここに、幼い頃より無二の親友同士だったアーリドとエウジスが数年ぶりに再会した。二人は強く手を取り合い、街により輝かしい未来を作りだすことを誓い合った。その姿に、誰もが当然のように希望あふれた街の未来を描いたのだが――、 しかし、未来はぶれた。 ……エウジスが少しずつ、着実に、街の自治を奪い取り始めたのだ。 「ミーナールを愛している。君との固い友情を信じている」 そう繰り返すエウジスの言葉に決して偽りはないと、アーリドも良く解かっている。だがその間にも、街はエウジスの手によって自治を狭められてゆく。 眩い夏の日が進む中、ミーナールの自由、そしてアーリドの友情は、逃げ場の無い場所へと追い詰められてゆく。…… ・  ・  ・ ミーナールという街の夏を主役に据えた、長い友情ストーリー。
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文字数 109,088 最終更新日 2020.11.02 登録日 2020.09.17
 シェイクスピアの残酷劇「タイタス・アンドロニカス」からヒントを得たストーリー。  血と陰謀と復讐にまみれた空想歴史話。 ・     ・     ・  南ヨーロッパの中世初期。豊かな都市王国のルム。  ……  その日、ルム最大の名門豪族であるナロドニア家の嫡子イルシオは、隣国アルグートとの戦闘に勝利し、人々の歓声の中に凱旋帰国した。  しかし、これを快く思わない者達がいた。  一人は、ルムの若き新国王・サナタイ。彼はナロドニア家の持つ傲慢な自尊心に、大きな不満を覚えていた。  もう一人は、捕虜とされてルムへ連行された、敵国アルグートの美貌の女王ターラ。彼女も当然ながら、己を捕囚の身に落としたイルシオへ激しい憎悪をたぎらせていた。  この両者が公然と手を結んだ時、ナロドニア家を抹殺するべく、血の陰謀が始まった。  女王に同行する謎の男・魔的なまでの魅力を持つ力量者・エアリアが描いたシナリオは、完璧であった。  凱旋帰国の翌日、たった一日でナロドニア家は散々にいたぶられ、晒し者にされた挙句に、崩壊させられてしまったのであった。…… ・       ・       ・  原作の舞台である古代ローマから時代を変え、中身を大幅に改変し、また美男美女を多数配した中世ヨーロッパ風の歴史ファンタジー話。
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文字数 119,557 最終更新日 2020.08.27 登録日 2020.07.29
北ヨーロッパ中世史の小さなエピソードをヒントにした、空想歴史ストーリー。 …… エリン島。 どこまでも連なる灌木の丘と、乳色の霧と、小王達が群雄割拠で並び立つ島。 ・     ・     ・ 「小王などなりたくない!」 そう泣いて嫌がった。だがガルドフ家の大人しい少年アーサフは、いきなり小国・リートムの小王に就かされてしまうことになった。 その時から数年間、重圧と自責と心労にもがきながらも必死で執政してきたアーサフの上に、ある日突然、飛んでも無い厄災が襲い掛かった。 彼が国を離れていた隙に、蛮族・バリマック族がリートムを急襲、領土を全て奪ってしまったのである! 奪われた王城には、政略婚を結んだばかりの妻・イドルもそのままに残されている。 一体どうすれば国を取り戻せるのだろうか……。 一体どうすれば妻を救出できるのだろうか……。 霧の中、追い詰められたアーサフの目の前にその時唐突に、一人の奇妙な少年が現れた。 ――自称コソ泥の、“カラスのモリット”。 モリットは全てが謎の、しかし圧倒的な知力と行動力、そして魔的とも呼べる魅力を持った少年であった。 勿論アーサフには判っている。 “この少年を信じてはいけない”。 判っている。充分に判っている。だが判っていても、それでも、妻・イドルを敵の手から救出するためには今、モリットの力量に賭けるしかなかったのであった。 深いエリンの霧の中、アーサフはモリットと共に、敵の待ち構えるリートムへと出立していった。 そのアーサフを待ち構えていたのは、想像をはるかに上回る大きな陰謀と背信、そして運命の転換となってしまった。
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文字数 190,198 最終更新日 2020.07.21 登録日 2020.07.15
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