タイムリープ小説一覧
未来が見える世界。それは、普段私たちが過去の思い出を記憶しているのと同じように未来を記憶することができる世界。もし、そんな世界が存在したら...。
こんなことを考えてる暇があるほど、高校二年の水瀬 春はごく平凡な学校生活を送っていた。保健室通いのクラスメイト、春風 玲那からのある一言を聞くまでは。
「お願いがあるの。私を助けないで欲しい。」
玲那が春に言ったこの言葉に込められた本当の意味。
そこには、あまりに衝撃的な現実が隠されていた。
文字数 8,210
最終更新日 2018.07.26
登録日 2018.01.23
神さまはチャンスをくれた。私が死ぬ一年前に、時間を戻す。たんに生き返っただけじゃない。起き上がったら、別の人間になっていた。くだらない話だ。私はゾンビになってまで、生き返りたくはなかった。使用期間は一年間なんだって。もっと欲張ったっていいじゃないか。神さまのくせに、けちで、陰気臭い。だって神さまは、こう言った。最後にキスをしなさいって。誰にって?そりゃあ、死ぬ前の私に、だ。それが生き返るという条件の一つだった。そんなことがなんになるのか。生まれつき大火傷を負った私は、醜いアヒルの子だったし。湖の中で、泳ぎ方も分からずバシャバシャ水の音を立てている。水面を揺らす光の反射の内側で、訳もわからず水の上にいることを知り、騒ぐ。ギャーギャーとわめくんだ。見苦しい。そんな私に、キスをしろだって?ふざけた話だ。いっそぶん殴ってやりたいくらいだ。私の顔面に一発、大きいのをぶつけてやりたい。小石なんて投げてやらない。うんと大きい石をぶつけて、現実を思い知らせてやりたい。生き返る条件?そんなの知らない。神さまに嘘をついて、私は私のところに向かう。私に会ったら、いつか言ってやりたかった言葉を言ってやるんだ。待ってろ。
文字数 24,761
最終更新日 2018.05.02
登録日 2018.04.02