ヒモのような彼氏小説一覧
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婚約破棄から全てが始まった。彼の名前は前田哲也、23歳。彼は二股をかけ、その上に胡坐をかく、まさにヒモのような男だ。私は皆野皆実、彼と付き合い始めてから足掛け八年になる。高校の頃からの幼馴染で、長い時間をかけてやっと婚約にたどり着いた。
哲也は母親の面影を強く持っており、彼の誠実さは母親譲りだ。ずっと正直で裏切らない態度を取り続けてきた彼だった。結婚式の前夜、二人の関係は一気に深まり、互いに愛を誓い合った。その夜は彼の腕の中で過ごし、私は幸せの絶頂にあった。しかし、結婚の翌日から彼の態度は曖昧になり始めた。両親の話をし始め、彼の両親がいかに不安定かを告げてきた。
私は新婚の自分に「これからは彼氏ではなく、夫なのだから」と言い聞かせながら、仕方なく新居を出て彼の実家へ向かった。到着すると、彼の両親は私を待ちわびていたように喜び、すぐに介護の手伝いを求めてきた。なんと、哲也は私に両親の介護を押し付ける形で、新しい女性との一夜の関係を楽しんでいたのだ。いや、違う。たった一夜の過ちならば、まだ許せたかもしれない。
しかし、現実はさらに酷かった。彼、つまり夫となった哲也は、実は婚活のプロだったのだ。私がご両親の介護に追われている間、彼は別の女性と豪遊する日々を過ごし始めたのだ。私が騙されていると気づいたのは、彼が家に戻らなくなってからだった。婚約破棄は、こうして始まったのである。
この物語の中で、私が学んだのは、人は表面だけでは判断できないということだ。誠実そうに見える人でも、その裏には全く別の顔が隠されていることがある。自分の幸せを守るためには、どんなに辛くても真実を見抜く力が必要なのだと、痛感した日々だった。
文字数 3,050
最終更新日 2024.08.30
登録日 2024.08.30
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