“俺”は密かに、先輩に想いを寄せていた。
少しチャラい気もするけれど、
とても華やかで、いつも底抜けに明るくて、友達も沢山いて…
ムードメーカーという言葉はこの人を表すためにあるのではないかと思う。
けれど、1つ不思議なことがある。
この人は何故か、度々美術部の部室にやって来る。
それも1人で。
運動部の方がよっぽど似合いそうな先輩はとても美術部というイメージではないし、
いつも「ただ来るだけ」で、絵なんか1枚も描いていかない。
その理由に触れたとき、
俺だけが、先輩の抱えるある“事情”を知ることになって……